いつもの日常?

 学校についたぼくはいつも通り教室へ向かった。

その道の途中でぼくは一ノ瀬くんと一人の女子を見かけた。


「おはよう。お前が宮部と一緒なんて珍しいな」


一ノ瀬と一緒にいる女子というなかなか珍しいポジションにいる彼女はぼくらが高校2年一組の委員長であり、クラスでは一番の美人だと言われる宮部 美乃梨である。

 下ネタばかり言っている一ノ瀬くんにいつも注意する役である彼女と一ノ瀬くんの仲はあまり良くないと思っていたが、


「別に違うわよ。こいつが校門の前で女子に下ネタ混じりのナンパ?とも言えないかもしれないけどそれらしきものを後輩にしていたから教室に強制的に移動させてたの。」

 

 うわぁ、そんなことしてたのかよこいつ。 

 まぁ うちのクラスなら一ノ瀬がどんな行動を起こしても冷たい目で収めてくれるからな。

 何より何も知らない後輩が一ノ瀬くんに対して恋心を芽生えるようなことがないようにしなければならない。

 そして3人で教室につき各々席に座る。朝から色々大変な目にあったが、今からはいつも通りの日常が始まるはずだ。


「すみません。このクラスに三浦先輩はいますか?」


 とクラスの扉の前に現れたのは学園のアイドルこと日野 由里香である。

 クラスメイトがほぼほぼ全員かつ瞬時にこちらを向き懐疑の視線を浴びせてくる。

 なんであいつが?

 そんな仲よかったの?

 まさか彼氏なんてことはないよな?

 そんなひそひそ声が聞こえる。そんなに仲良くもないし、ましてや彼氏なんてなろうものなら初日でぼくは入水自殺でもしなければならない。

 しかしそんなこと口に出せるわけはなく、ぼくはただただ気まずそうにうつむいてるしかできなかった。

 あーあ もーだめだ こりゃ ぼくに平和な日常は贅沢すぎたようだ。

すると、


「あっいた!おーい三浦センパーイ!」


と言いながらぼくの席に近づいてくる。

 こいつほんとにあの日野 由里香か?まるで普段のぼくにたいする態度と違うのだが。

 やはりみんなの前ではぼく相手でも優等生モードのようだ。


「何しにきたんだよ?」


 ぼくは恐る恐る聞くと、


「いやー、別にー?先輩と喋りたくなっちゃって」


と100点満点を上げたくなるような笑顔を向けてくる。その笑顔にクラスの男子は一瞬で心を掴まれる。

しかし目の前にいたぼくだけは生存本能で気づいていた。

 そのパッとみると完璧な笑顔の裏には何かいけないものが隠れていると。


「先輩、ちょっとここだとなんだから、違うところで話そうよ。ねっ?」


 男子どもはメロメロになる中、ぼくだけは恐怖でろくに動けなくなっていた。

 こえぇぇ!何されるんだよ!

 どうしよう!ものすごく逃げたい!

 しかしぼくには断るしっかりとした理由も立場もないわけで、


「わかったよ」


と彼女の誘いにのるしかないのであった。

 彼女はぼくを人気のない屋上近くの階段へ連れて行った。

 途中、男子に憎悪の目を向けられたがぼくは彼女に何をされるか怖すぎて正直それどころではなかった。

謎のギャラリーをふりきり二人だけの場所。そして


「あんたねぇわざわざご主人様にご足労いただいたのに感謝の一言もないわけ?」


「だから!ぼくは!お前の奴隷じゃないの!」


言い切ったぞ!どうだ、みたか!ぼくだってちゃんと反論できるんだぞ!と反論できた自分を励ます。


「はぁ?だから朝言ったでしょう。君が私の奴隷になるかは上の立場である。わたしが独断と偏見で決めることができるのよ!」


 なんて理不尽な。

 彼女は人間の心を本当に持っているのだろうか?いや、多分違うな。ぼくは彼女の中では人間の部類に入っていないだけなのだろうなので彼女の中ではぼくは自分の道具であるとでも思っているのだろう。


「で?何かようかよ。こんなところに呼び出しておいて特に何もありませんなんてことないよな。」


 すると彼女は少し真顔を挟みニヤァと笑う。

 な、なにをされるんだっ?!

 ぼくの心はもう絶望と恐怖で埋め尽くされもはや怒りなどは入る隙間がなく、ブルブルと震えることしかできなかった。

 そのぼくをみて満足したのか日野さんは普通の顔に戻ると、


「流石に奴隷相手でもそんなことはしないわよ。何よりわたしにメリットがないし。」


 その奴隷になったつもりはないのだが。と

ぼくは胸をホッと撫で下ろしながら心の中でツッコミを入れた。 


「はっきりいうわ!あなた、わたしが友達の悩みの解消をするのを手伝いなさい!」


 ???

どーゆう意味だ?


「えーと?どーゆう意味?」


 なんとか自分の中で答えを出そうとしたが答えが出なかったので聞くと、


「そのままの意味よ! 

 わたしは学園のアイドルという立場上友達が多い、そしてその中には悩みを持つ子なんてたくさんいる。すると必然的にその悩みの相談先がわたしに集まるのよ。

 けどわたし一人だけじゃ解決するのにも限りがあるし、こんな陰キャのあんたでもでも一応男手だし少しはわたしの役に立ちなさい。」


 あーそういうことか大体わかったぞ。つまりお前が受けた悩みの相談を解決するのを手伝えと。

 そんなの答えは決まっている。


「なんで俺がやらなきゃいけないんだよ!こっちにメリットが全くないじゃないか!」


 「はぁ?なんであんたにメリットがなきゃやっちゃいけないのよ?そんないちいち自分の損得ばっかり気にしてるとモテないわよ。」


 くぅぅぅぅぅ 確かにモテないけどさぁ モテないけどさぁ


「あんたに拒否権はないわ!とりあえず今日放課後!すぐ!予備教室1に来なさい!すっぽかしたら許さないから」


 こわいこわい!目が全然笑ってない。これほんまに殺されるやつや。

 それを言い合えると彼女はぼくの返事を聞かずに自分の教室に帰って行った。

 なんでぼくばかりこんな目に.....



 

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