作戦開始
数日後。俺たちは真夜中の王宮の入口付近に居た。
「で、これが王宮への通路。後は稲荷に掛かってるよ。」
『...あぁ、分かった』
この人、巫 ひあと言ったか。ただもんじゃないと思ってたが、ここまで頭が回るとは恐ろしい。しかもこの情報、何処から手に入れてきたのだろうか。
「、、じゃあ、頼んだよ。」
その言葉にはしっかりと重みがあり、絶対に成功させてみようと俺は再び意識を集中させる。
『、了解。』
そしてそのまま王宮内へ潜入した。
──────十数分後、いつ戻ったか。俺は巫達の真後ろに立っていた。
『こんなんで良いのか?』
「流石、この程度楽勝でした?」
と月華さん。巫さんは街に放送を流してくれている。
『いや、そんなことはねえよ?』
事実、バレなかった訳では無い。巡回している兵士だけでも合計七十人は居ただろう。二人だけだが、姿を見られてしまった。まぁその二人は一週間ぐらい意識ないだろうけど。ドンマイ。
「王の死体は?」
『それはご安心。色々やって自殺に見せたから』
「ふふ、余計な心配でしたね」
『じゃ、後は月華さんが王になるだけか』
「その点も問題無いよ。子鈴は国民からの支持が高いからね。さっき放送を入れたけど、王が死んだと民衆が知れば次に候補に指名されるのはしーちゃんだろうし」
『しーちゃん…?あぁ、子鈴か。じゃあ後は楽だな』
「うん。おつかれ」
「これから稲荷はどうするの?」
月華さん、巫さんが順に話しかけてくる。
『何でも屋の確認。残した奴が心配だし』
「そう?ならいいけど」
『そんじゃ、一先ず解散だな』
「OK。次集合する時はまた伝えるよ」
『了解』
という台詞と同時に、俺はその場から姿を消した。
「...仲間にして良かったですね」
「そうね。こんなにも早く事が進むなんて」
「はい。...これからもよろしくお願いしますね、神谷 稲荷くん。」
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次の日。王の死亡記事が発行された。勿論民衆は安堵する者が殆どだった。
だか、貴族・王族は怒り、何か裏があると訴えるが、幾ら調べようとも完全な自殺としか分からなく、結局次の王候補が推薦されることとなった。
そして俺は後日、とあるカフェの椅子に腰掛け、のんびりと新聞を読んでいた。
『なになに、《新たな王、月華 子鈴に決まりか》か、いい感じみたいだな』
その時、ふと外を見ると店に入ろうとしている巫さんと目が合った。
『あぁ、了解。』
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数分後
「久しぶりですね。」
「元気だった?」
そこには以前とあまり変わりがない様に思われる月華さんと、少し疲れていると思われる巫さんが居た。
『あぁ。てか呼ぶなら普通に連絡しろ。んで、今日は何すんの?』
「まぁめでたく子鈴が王になることになったから、国民にその事を公表しないといけない。」
『へぇー』
「更に、新しく国を作るには圧倒的に足りないものがあります」
と月華さん。
『何が足りないの?』
「ん、戦える兵士...でしょ?」
と巫さんが紅茶を啜りながら言う。
「そうです。書記とか情報とかの戦闘面じゃない人ならひあさんが手配してくれてて」
『じゃあそれはこっちでどうにかしとく。こう見えて顔は広い方だし、給料の方は王宮で盗ん、、貰ったから』
「何か言いかけてなかった?」
『....いや、何にもねぇよ。とりあえず、俺がやっとく』
「あっはい。じゃあ僕は演説を頑張るんで」
『おー、頑張れよ。ま、俺は俺でなるべく強い奴集めとくよ。あと演説始まったらちょこっと顔出しとくわ』
俺はそう言い切ると椅子を立ち、その場に二千円ほど置いて拠点に向かっていく。
さてさて、心優しい総統閣下からのご命令だ。一丁働きますか。
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数日後、俺は子鈴の演説を聞いていた。ただ、後半からしか見ていないから殆ど「お前何言ってんの」状態だったが、終わった後の周りの反応はかなり良いことから失敗はしなかったようだ。
『お疲れー、演説良かったよ(多分)』
「あぁ、稲荷か。ありがとうございます。とりあえずやる事ってのは殆ど終わったんで残すは樹達の救出だけですよ」
ちょ、月華さん。「あぁ、稲荷か。」は酷くね?
なんて思考は口に出すと子鈴に怒られそうなので黙っておくことに。
『そうか。んじゃ、場所特定してから作戦会議かな』
「ついでに拠点も変えましょうか」
『OK。変えたら二人には集めた兵士達と顔合わせてもらうから』
「了解。じゃ、ひあさんには兵士達を組み分けてもらいますね」
「えぇ〜…」
、、巫さんは凄く面倒くさそうな顔をしている。…南無阿弥陀仏。
「ならついでに特定も終わらしとくわ」
『出来るのか?、流石は巫さんだな。』
…待ってろよ、2人とも。
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