ひあsaid

ひあside


『ん〜っ、、』


窓辺のカーテンを開けると、溢れ出る様な光と緑に包まれ、先程とは一転した景色に気持ちが晴れていくのを感じる。

少しすると、足音とともにドアがノックされた。


『はーい、いらっしゃい。しーちゃん』


「わ、ひあさん…気付いてたんですか?」


出てきたのは甘く香ばしいチョコレートの香りのする籠を手に持った子鈴だった。


「…どうですか?、進捗は」


『進捗?6割っ!…まぁ冗談だけど〜。大丈夫。完璧に終わったよ』


「うわ、、早いですね…」


『ふふ、うわって何?もー、酷いなぁ〜』


情報…子鈴と笑い合える程には集まったけど

どちらも救出に行くには難しい内容。

やっぱりここは一度会議室で作戦も含め話し合った方が良いかもね


『じゃ、会議室。行きますか』


「了解です、稲荷も呼んどきますね」


『OK、ありがと』


━━━━━━━━━━━━━━━

会議室


稲荷side


月華さんに呼ばれて会議室に来た…が大分早かったかな?

…それにしてもここの内装って上品なんだけど煌びやか過ぎず、かといってシンプル過ぎる訳でもないっていうのがすごいかっこいいんだよな。これって外装も含め誰が決めたのかな?

と1人考えていると、巫さんと月華さんが来た


「ん、相変わらず早いね」


巫さんが話しかけて来る。

目元には薄らと隈が刻まれており、相当頑張ってくれていたのだと察する。

そしてそんな巫さんの隣には甘い匂いのする籠を持った月華さん、俺を呼び出した張本人だ。

俺を会議室に呼び出して一体何の話をするのだろうか


「さて、今回稲荷を呼んだのは理由があってね。…概ねあの二人の件と予想してくれたら嬉しいんだけど」


あの二人、、樹とるかの事だろう。

だが助手の巴でも見つけられないのに見つけ出す事は可能なのか…?


「いやー、見つかったんだけど…結構面倒な所に目付けられてるみたいで」


『………2人の位置はわかったんだな?』


「..うん。とりあえず今から作戦話すよ。よく聞いといて」


といい巫さんは作戦の説明を始めた

その作戦は

1.樹は俺(神谷)、るかは近衛部隊が担当。

2.同時刻に潜入を開始し、組織を壊滅させる

⇒巫さんは指示を出す。遊撃部隊と近衛部隊が各々につく。月華さんは法的措置。

3.樹とるかの奪還、被害者の保護が済み次第兵を送る。

というものだった。


「決行日は来週、11/16 。時刻は 09:10。今日のうちに各師団への伝達を済ませ次第訓練に取り掛かるように。では、解散。」


と巫さんが言う。

すると月華さんは用事があると言うことで自室に戻って行った。…意外と忙しいんだな、あの人。


「じゃ、神谷君。“頼んだ”よ」


『…了解。』


と笑顔で言って巫さんは去っていった。

なるほど、これなら部下達が『巫さんは作戦実行の時に恐ろしく杓変する、』と言っていたのも頷けるな


━━━━━━━━━━━━━━━


稲荷side


「さて、いい奪還日和だね。」


と巫さんが言う。

それに月華さんが


「はぁ、何言ってるんですか」


と呆れたように発する。

その後に巫さん


「ふふ、奪還日和だよ」


月華さんは少し強ばっていたが、巫さんは全くと言っていいほどそのような雰囲気を感じなかった。それに背筋が凍るような恐ろしさを感じた。その時、カチっと機械音。

その少し後にゴーンという鐘の音が響いた。残り5分で開始する合図。その音を聞いた巫さんはニィっと口角を上げて


「楽しみだね。神谷君。」


後数分で始まってしまうというのに、何をこの人は


『…ほら、ちゃんと真剣にやらないと』


と情報室側に向けさせると


「えー?ふふ、つれないなぁ」


とその方向に歩いていった。

すると、こちらに顔を向けて


「じゃ、頑張ってね。」


と言った。その言葉を最後に巫さんがこちらを振り向くことは無かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る