第18話 恋愛とは、和菓子主義者が信条洋菓子派と付き合ったとき、洋菓子を認めざるを得ないということ
ではそもそも恋愛とは何なのでしょうか。私はそれをせっせとノートに書き連ねました。
〈恋愛とは〉
・檸檬のように酸っぱくて、蜂蜜のように甘いもの?(蜂蜜レモンみたいなもの?)
・世界平和に貢献するもの?
・世界が電飾で彩られたようにキラキラと煌めくもの?
・血がやかんで沸騰したお湯のように、カーッと熱くなること?
・和菓子主義者が信条洋菓子派とお付き合いしたとして、なんとなく洋菓子も良いよねと、自分の信念を変えてしまうこと?
・朝は絶対に納豆ご飯と決めていても、お付き合いした異性がトーストした食パン以外は朝飯じゃない党党首であれば、泣く泣く納豆ご飯を諦めること?
ああ!もう!何故こんなにも理不尽なのでしょう!恋愛とはもしかすると、自分の信念を変える、変えざるを得ないということなのかもしれません。煌めく世界を手に入れる代わりに、自分の中で孵化する前の卵を温めるように大事に温めていた信念を曲げる、ということなのかもしれません!そんな恋愛をして楽しいのでしょうか?
全く分からなくなってきました。とりあえず、松本さん吉田さんと構成している、「中二病撲滅委員会」というグループトークで、自分の悩みを打ち明けました。
恋愛について色々考えたけれど、なかなか思うような答えが出て来なくて焦っているということ。恋愛は楽しいものではなく、理不尽なものなのではないか、ということ。理想の男性像が、割と誰にでも当てはまり、中二病以外、という項目を設けたが、そうしたら中三になった時、皆が恋愛対象になってしまう恐れがあるということ。今の段階では理想の男性像は田中君だが、田中君のことが好きかどうかは分からないということ。
松本さんからの返信はこうでした。
「月曜日の朝、加藤さんのためにひと肌脱ぐわ。絶対に朝七時に教室に来て」
吉田さんからの返信は、松本さんの返信の一時間ほど後に来ました。
「今人集めてます~。朝苦手って言ってたけど、遅れちゃだめだよ~っ」
この二人は何をしようとしているのでしょうか。私は二人のために、お風呂に入る準備を始めました。
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