第4話 中二病:優等生タイプ 先生至上主義

このクラスの「優等生タイプ」は生徒会副会長兼二年三組委員長のまひろ君が挙げられます。

 まひろ君は透き通るような白い肌に、薄っぺらい体、貧弱そうな目つきを携えています。口癖は「先生の言うこと聞けよ。掃除はしっかりしろよ。(合唱で)おい、男子声出せよ!」です。今はちょうど来月中旬、十月十五日にあるコーラスコンクールに向けて練習をしているのですが、まひろ君しか声を出さないという非常事態に陥っています。中二病が中二病に声を出せと言っても、言うことを聞かないことこそ正義だと思っている中二病もいるため、結局まひろ君の大きな声が響き渡るのです。そして何よりも残念なのが、まひろ君がびっくりするほど音痴だということです。

『なんならあなたが歌わない方が綺麗な響きになるのに』

 という声には出さない女子のため息が

「おい、男子声出せよ!」

 の怒声に被さります。きっとまひろ君は、この女子のため息は声を出さない男子たちに対して発せられているものだと思っているのでしょう。怒声を発し、女子のため息を耳にした後には、随分と満足げな笑みを浮かべて指揮者を見つめているのですから。

 自習で少し、クラスが騒がしかった金曜日の五時間目も、まひろ君は自分の正義、という剣を振り回していました。

「おい、静かにしろよ。勉強やっている人の邪魔になるだろう!先生に言うぞ!」

 まひろ君はガタっと椅子から立ち上がると、大きな声を出しました。その声こそ、騒がしい教室をよりうるさくしている感じもします。

そしてここで二番目のマイルドヤンキータイプが立ち上がるのです。


 

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