第3話 聴診後に一番質問されること

 聴診をした後、みなさんからかなりの確率で聞かれる、ある質問があります。


「この、黒いのなんですか?」


 モニターに映る胸部レントゲン画像の右下あたり、肺の下側を指差しながら聞かれることが多いです。(画像が挿入できたらわかりやすいのですが……)


 私は胸部レントゲンの画像を前回分と今回分の2枚、モニターに表示してから聴診をしています。部屋にお呼びする前にこのレントゲン画像は確認済みなのですが、聴診をしながら少し遠くからもう一度横目で確認をしているのです。別日にもう一人の医師がダブルチェックするとはいえ、見落としたくないので、何度も確認をします。

 そんなとき、患者さんも聴診されながら一緒に熱心にモニターを眺めていることに気が付くことがあるのですが、だいたいそういう時は

「この黒いのなんですか?」

と聞かれます。


 なにかわかりますか?



 おなかのガスです。とかです。



 「悪いものですか?」と聞くくらいに心配される方もみえるので、とびきりの笑顔でおならとかゲップですと答えるようにしています。マスクとフェイスシールドであまり笑顔はみえないかもしれませんけど、安心感が伝わればと思っています。

 おなかのガスは毎回微妙に違う形で写るものなので、2枚並べていると一番変化があって目についてびっくりされるのでしょうね。


 次回健康診断を受けるとき、もしレントゲンをみせてくれるタイプの施設でしたら、画像に注目してみるのも楽しいかもしれませんね。右下の白いところのなかに黒いぼこぼことしたものがあれば――今回のお話を思い出してみてください。

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