第49話 異章 ―逆の答え―
この部分が嫌いな人もいるかもしれません。
※読み飛ばして頂いても大丈夫です。
始まりの日、魔王城にて。
元々、魔族は国の体を成すことができない。その感情の強さに違いはあれど、皆憎しみ、傷つけあうことをやめられないからだ。
複数の部族に分かれ、それらが絶えず戦いを繰り返していた。
それ故、彼らは強く、それ故、数が少ない。
混沌とした場所。
そこに、魔王が現れ、その知略と、魔剣の力で一時的にまとめ上げた。外に憎しみを向ける形で。
魔王はその知略で国を作ろうとする。だが、あまりうまくはいかない。その根本にある感情が常にそれを邪魔するからだ。
そして、今日、魔王は各部族の長、その側近たる四天王を玉座に集めると話を始めた。
「悪いね、集まってもらって。これまで、人間の歴史を紐解き、たくさんの手法を試してきた。
だが、その悉くが失敗に終わった。原因は言わなくてもわかるだろう。
そして、私は決めたよ。この世界を滅ぼす。全てを終わらせるつもりだ」
一瞬の沈黙。そして、再び魔王は口を開いた。
「闇の神は世界の穢れの集合体らしい。そして、その子である我々は、常にそれを背負っている」
「ずっと考えていた。なぜ、これほど全てが憎いのか、ようやく答えがでたよ。
だから、この醜い世界を滅ぼす。終わりにする。こんなくだらないことには付き合っていられない。別についてこなくてもいい、私は私のためにそれをするのだから」
「それに、最後は魔族そのものすら滅ぼすかもしれないよ?私に逆らうならそれもいい。とりあえず、一応みんなの意見を聞かせてくれるかい?」
魔王がそう投げかける。どうでもよさそうな雰囲気で。
ローブ姿の骸骨が言う。
「人間が憎い。全てを殺せるのなら是非もない」
翼を持つ女が言う。
「楽しそうじゃない。付き合ってあげてもいいわ」
黒き騎士が言う。
「魔王様が望むなら、私はそれを為すのみです」
牛の悪魔が言う。
「ふん。俺は強者に従うだけだ」
魔王は全員の言葉を聞くと楽し気に笑った。
「そうか、ありがとう。では、パーティを始めようか。今度の主役は私たちだ」
【以下、後書き的な物】
それぞれの答えがある。それは敵にも。
世界は単純ではない、純粋な勧善懲悪とはいかない。
いい気分を台無しにする章ですが、好きに書いている作品なのでご容赦ください。
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