【6】
ピーチの味をしたその飲み物は夢のようなフレーバーで、今までに味わったことのないような天国のような香りが漂っていた。
汐里は一気に良い気持ちになった。
にこにこしながら彼女はショルダーからスマホを取り出してみた。
先ほど麻耶と咲子に送ったメッセージはどうなっただろうか。
(さきこ)『どこにいるの?』
(まや)『ミラーボールの下辺りにいるよ!』
汐里はきょろきょろと辺りを見回した。
二人からそれぞれ返信は来ていたが、自分がどこにいるのか見当もつかない。
汐里は再び心細くなってきた。
だが、どうしたら良いのかも分からない。
オロオロしていたその時、汐里の視界が突然グラリと揺れた。
(えっ、何?)
目の前の景色に上下が無いような、宇宙の中を歩いているような。とにかく変な感覚である。
頭がクラクラしたかと思うと同時に膝もふわふわしている。
まるで足に骨が入っていないような感じがする。
(も、もしかしてさっき飲んだのってお酒?)
汐里は、今までに経験したことのないようなおかしな感覚の中、ぐにゃぐにゃする床を一歩一歩歩き出した。
早くここから出なくては。
そんな思いが彼女の心の中をかき混ぜるように広がっていた。
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