第44話 学校行事
それから2ヶ月が過ぎた。
季節は程よく涼しかった春から蒸し暑い夏へと変遷した。
また、魔物征伐は完全に収束してこの世界に再び日常が戻っていた。
「お前ら、明日から夏休みだ!!」
「おおおおお!!!」
「だがその前に…夏休み明けにある冒険者学校の目玉行事、剣闘祭に出場する選手を発表する!!」
「おおおおおお!!!!!」
『剣闘祭…?そういえば冒険者学校のパンフレットにそんな行事があったようななかったような…』
「教授、詳しく知らないので説明をお願いします。」
「分かった。」
よく質問した!!
ナイスだ隣の席の人。
「剣闘祭は簡潔に言うと、他都市にある冒険者学校との対抗戦だ!!団体戦と個人戦を毎年交互に行っている。今年は団体戦だな。」
「確か…去年は全学年ここアインザスが優勝しましたよね?」
「その通りだ。優勝報酬は年ごとに違うが、どれも豪華だぞ。」
ほぅ…
元Sランク冒険者が指導しているだけあって、やはりアインザスは強豪校らしい。
「試合形式は何ですか?」
「先に5人敗れた方が負けの勝ち抜き戦だ。ちなみに全体の形式はトーナメントだ。他に質問がある奴はいるか?」
今の説明で大体理解した。
優勝報酬が気になるところだ…
「…いないみたいだな。選手を発表する!!今年の出場選手は小僧、アイリス、クレア、スー、イザベルの5人だ!!」
「まあ…予想通りだな。」
特待クラスのなかでも、希少種族の4人は戦闘能力の面で特に異彩を放っている。
入学当初から強かったのだが、この2ヶ月で他生徒より人一倍成長しているのだ。
「剣闘祭は9月10日から始まる。各自、剣闘祭に向けて鍛えるように。夏休み明けに実力を見て、選手変更する場合もあるからサボるんじゃないぞ?」
「はい。」
同年代の実力を知るいい機会だ。
アインザス校では俺が1番強い自信があるが、井の中の蛙かもしれない。
サボらずに夏休み中も訓練を続けよう。
「以上で学活を終わる。」
『まさか行事に積極的に参加する日が来るとは…』
前世の学生時代、俺はガチ陰キャだったため行事のノリについて行けなかった。
そして、気が付けば行事のアンチになり参加しなくなっていたのだ。
「なぁアルフレッド!!この後5人で修行しよーぜ!!」
「クレアか。俺は構わないが…他の3人は?」
「アイリスとイザベルはいいってさ。スーが何処か行っちまったから一緒に探しに行こうぜ!!」
「分かった。」
今更だが、俺はスーを“鑑定“したことがないため実力をあまり知らない。
知っているのは槍の授業が一緒で、いつも優秀な成績を収めていることくらいだ。
「なぁなぁ!!アルフレッド!!」
「何だよ。」
「魔物征伐はどうだったんだ?オレは救援部隊に待機してて暇で暇で仕方がなかったぜ…」
「あー…それはご愁傷様。俺はノーブルオーガだのラミアだのウェアウルフだの…色々な魔物と戦ったよ。」
「羨ましい…!!オレも前線に出たかったなぁ…」
クレアは高身長で巨乳、その上スタイル抜群だが綺麗な赤い髪がボサボサなのが少し玉に瑕だ。
口調が荒々しく、男友達のようなノリで話せるのでとても仲良くなった。
「なぁなぁ!!アラン教授はどうだったんだ?」
「ウェアウルフ戦の時は凄かったぞ!…って、あ。」
「どうしたんだ?」
「いや、こっちの話だ。」
ウェアウルフを圧倒した不思議な力について聞くのを忘れていた。
夏休みも学校に来れば会えるはずなので、今度こそ詳しく聞こう。
それからクレアと楽しげに話しながら校内を探し回った。
「…おっ、スー!!こんなところに居たのか!!」
「クレアだー!!それにアルフレッドもー!!あっ…もしかして2人、そういう関係?」
スーがにやつきながらこちらを見てきた。
あまり絡んだことはなかったが、どうやら恋愛脳らしい。
「違う。友人だ。」
「あ、ああ!!け、決してこ、こここ…恋人などではないぞ!!」
「クレアの反応怪しいなー…」
『どうしてクレアはここで顔を赤く染めるんだ…』
前世で年齢=彼女いない歴だがギャルゲーをやりこんでいた俺には分かる。
クレアは…間違いなく脈ありだ。
『まあ…今更だけど転生後の容姿は結構良いからな。父親譲りの茶色がかった銀髪と赤い瞳、そして母親譲りの整ったパーツ…まるでアニメの登場人物みたいだからな。』
「それで2人とも、スーに何か用かな?」
「あ、ああ!!剣闘祭に向けて、オレ達5人で一緒に修行をしないか?」
「いいねー!!まさに青春の1ページって感じだよ~!!」
「じゃあ教室に戻ってアイリスとイザベルと合流しようぜ!!」
「はーい!」
それから教室で5人集まり、今後の予定を決めた。
「では毎日9:00に教室集合で、休む時は前日までに報告ってことでいいですね?」
「ああ。」
「は、はいなのです!」
夏休みの宿題は筆記の問題集1冊だけなので、無理がない程度だろう。
「うし、じゃあ今日は剣闘祭で戦う順番を決めようぜ!!」
「そうだな。そうしよう。」
「1番目誰が行く?」
「私が!!」
「俺が!!」
「オレが!!」
「あたしが!!」
「ボ、ボクが…!!」
「はははっ!!見事に同時だったな!!」
「そうですね…ではこれで決めましょう!!」
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