第45話 戦順決定戦

「あ、あたし知ってる!!最近生まれたポーカーとかいうゲームだ!!」




「オレもこの前やったが結構面白かったぜ!!」




『堅物委員長キャラのアイリスが物事の決定に賭け事を使うとは…


少し意外だ。




「ああ。だが、これをやるにはディーラー…中立の立場でカードを配る人が必要だな。」




もう放課後だから生徒はほとんど残ってないし…アランでも探しに行くか。




「おうおうお前ら!!面白そうなことやってんじゃねーか!!」




「アラン…!!ちょうどよかった。ディーラーを頼まれてくれないか?」




「おうよ!!カジノ通いしてるからルールは知ってるぜ!!」




こんなに生き生きしているアランは酒の席くらいでしか見なかったな。


趣味が酒と賭け事って…完全に遊び人じゃないか。




「ルールは全員知ってるか?」




「は、はいなのです…」




『イザベルも知っているのか…大人しいから意外だ。』




「勝負は6回、1番多く勝った人が勝ちだ。」




「同率1位だった場合はどうするのー?」




「その時は2人で再戦すればいいだろう。」




「そうだな。」




この勝負、LUKの値が大きい人が有利なのだろうか…?




『…そうだ。スーを“鑑定“してみるか。』






名前 スー 種族 鳥人族 Lv.36




HP 250/250 TP 4215/4215 SP 0




STR 40 VIT 30 DEX 70 AGI 60 INT 40 LUK 50




スキル


槍Lv.5 体術Lv.4




ユニークスキル


飛行:空を飛ぶことができる。






『大体アイリスと同じステータスだな。LUKは…それほど高くないな。イザベルが圧倒的1位で、俺が2位か。』




「じゃあ始めるぞ。」




数十分後




「……まじかよ。」




「じゃ、じゃあボクが1番手ということで…」




結論から言うと、イザベル無双が繰り広げられた。


常にスリーカード以上の役を出すという…まさに豪運だった。




「…おかしいです。イザベル、イカサマしてませんか?」




「そ、そんなことしないよ…」




「ですよね…」




1戦目:俺がフルハウスを出しのに対してフォーカードを出して勝利。


2戦目:皆がワンペア、ツーペアを出したのに対してスリーカードを出して勝利。


3戦目:スーがフラッシュを出したのに対してフルハウスを出して勝利。


4戦目:クレアがストレートを出したのに対してフラッシュを出して勝利。


5戦目:皆がワンペア、ツーペアを出したのに対してストレートを出して勝利。


6戦目:アイリスがフラッシュを出したのに対してストレートフラッシュを出して勝利。




『いや…改めて考えてもこれは勝てんわ!!ストレートフラッシュなんてどんな確率だよ!!』




理不尽なほどの豪運に打ちのめされ、俺たち4人は惨めな気分になった。


そして感情が壊れ、虚無の領域に至った。




「…では2位以下の決定戦をしましょう。」




「ああ…」




「そう…だな。」




「そうしよーか…」




数十分後




「…いやおかしいだろ!!LUKの値に左右されるんじゃなかったのか…⁉︎」




「よっしゃぁ!!オレが2番手な!!」




「私は3番手ですか。まあいいでしょう。」




「あたしは4番手かぁ…ちぇー。」




LUKの値が2番目に高い俺は2位になれると思っていたのだが…


3人に完膚なきまでにボコボコにされて最下位となった。




「ざまぁないなアルフレッド!!戦闘は強くても運は持ち合わせてなかったのな!!」




「うるせぇクレア!!」




「まあまあ小僧、そこは逆転の発想をしろ。小僧は我がアインザス校の総大将になったんだぞ?」




「ノーペアとワンペアしか出せない人が総大将ね~くふふっ!!」




「スーまで俺を煽るのか…」




そう、俺は過去1番に酷い運を発揮してしまったのだ。


戦歴を振り返ってみよう。




1戦目:クレアがスリーカードを出して勝利。ちなみに俺は2のワンペア。


2戦目:スーがストレートを出して勝利。ちなみに俺はノーペア。


3戦目:クレアがフルハウスを出して勝利。ちなみに俺は3のワンペア。


4戦目:アイリスがフラッシュを出して勝利。ちなみに俺はノーペア。


5戦目:アイリスがスリーカードを出して勝利。ちなみに俺は3のワンペア。


6戦目:クレアがフォーカードを出して勝利。ちなみに俺は4のワンペア。




「くふふっ!!ワンペア出してるけどワンペアの中でも弱い数字じゃ~ん!!」




「くそぉ…」




『俺まで順番が回ってくる気がしない…せっかく行事に前向きになったのに…』




「はいはいそこまでな!」




「アラン…!!」




もしかして俺を庇ってくれるのか…?


遊び人だと言ったことを訂正しよう…




「お前らがやってるのを見ててうずうずしてたんだよ!!じゃあカジノ行ってくるわ!!」




「アラン⁉」




やっぱり遊び人だったようだ…


期待して損した。




「あっアラン!!ちょっと待って!!」




「どうした小僧?」




「ウェアウルフ戦で使った技について聞きたいんだが…」




「あー…じゃあ明日の朝ここに来い。」




「分かった。」




4人も習得できたら剣闘祭で優勝間違いなしだ。


…だが、もしあれを習得したら確実に俺に順番が回って来なくなる。




『せっかく行事に参加したのに見学だけになるのは絶対嫌だ…まぁアランもいずれこの4人に教えるだろうし、今は隠れて練習しよう。』




明日が楽しみだ。

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