第21話 死ぬ時まできっと

私はずっと何かが怖い。

進学や就職が怖い。

新しい環境が怖い。

電話がかかってくるのが怖い。

誰かに試されるのも嫌い。

攻撃するのもされるのも嫌だ。

主導的になるのは無理だ。


その根源にあるのは、


私 という存在、そのものだった。



自分が普通でないと分かっていた。

それがいつからかはもう忘れたけれど。

誰かに言われたわけでもなく、

それが自然であるかのように理解した。


理解したら、怖くなった。

他者からの刺激全てが…


私の周りで私の話をしないで。

はっきりしない言い方にたっぷり含まれた悪意。

汚いものを見るような視線はどこから降ってくるか分からなくて。

なんで私が知らない人が、私の悪口を言っているの?

おかしなことはしていないのに…

あなたたちも言ってたじゃない。

私は真面目な 大人しい女の子だって。


…もう、嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ!やめろ!

話しかけるな!そんなことしか言えないなら!

存在しないものとして扱え!

私に近寄るな!認識するな!

許さない!許さない許さない!


決して口には出さなかったが、

常に思っていた。いや思っている。



こうして私は閉鎖的になっていった。

今もそう。できるだけ人と関わりたくない。

でもその性質は、社会においてはこの上なくハンデになる。

私が存在するだけで迷惑になる日は、きっとすぐそこにある。

そしてこの思考は私が死ぬまで、烙印のように刻み込まれて消えはしないのだろう。


透明になって誰にも見えなくなって

存在さえも曖昧になって

私ですら気付かないうちに消えてしまいたい。

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