第16話 前進?

ここ最近、私自身についての近況報告をしていなかったので今の病状について少し。

何度目かになる通院でついに増薬を言い渡され、その時はがっくりとした。

偏見といえば偏見なのだろうか、薬をたくさん飲むことはあまりいいイメージが無かった。

前よりも倍の量の薬に、追加で処方された漢方薬もある。薬代はそう高額になった訳ではなかったが、理由もなく冴えない気持ちになった。


しかし医師の指示に背いたとて、いい結果が出ないことは知っているし反抗の意思もないので大人しく処方された通りに薬を服用している。

すると案外あっさり症状は改善を見せた。

以前までは何もしなくても漠然とした不安に襲われていたが、今はなんともない。

全く問題がないかといえばそれは違う気もするが、限りなく通常運転に近い…波の少ない精神状態だ。

だからといって動き回るとすぐに反動が来る気配がするので、1日にひとつ何か出来ればよしとしている程度だし、外出が難しい日も多いが…

こんなにあっさり段違いに良くなるものだと思っていなかった。早く良くなることに越したことはないし、随分と楽になった。無駄に気を張っていた感覚はどこかへ行ってしまった。発作止めの頓服薬もまだ1錠しか使っていない。


でも私の中の私は不思議な感情を抱いている。

「ああ、よくなってしまう。怖い」

「よくなったらまたあの嵐のような生活が始まってしまうの?」

よくなりたい、どうにかしたい狂いそう。

そう思ったから病院に通っているのに、良くなるのが怖いなんて…

自分で自分のことがいっそう分からなくなった。

何も怖がることなんて無いのに。

やはり根本的な精神不安の改善にはまだ時間がかかるのだろうか?

社会が、外の世界が怖いという本音。

以前だったらこんな心の叫びもすぐに気付けなかっただろう。その点では格段に成長したことを感じられて嬉しくもあるが。

私に残された休める時間は、あとどれくらいなのだろうか。

きっともう悪意を向けられることに耐えられない。

理不尽なことも、正論じゃない正解も。

さて、この先どうなるのやら…

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