願望機~傭兵隊長サラトゥスの受難 著:多仁寿すもも
カクヨム限定・期間限定のハイファンタジー短編
ここから感想。
九千文字で、さらに異世界ファンタジー。
こうなると相当詰め込まないと作品として成り立たなくなる。もしくは、読者の前提知識に頼ってもいいかもしれない。
世界設定を『RPGのような世界である』と、すべて放り投げてしまえばある程度文章の短縮となる。しかし、まあ本格ファンタジーを名乗るならこれ逃げだろう。
本作はどちらかといえば詰込み型。つまり前者の形式をとっている。
こうなると、何かを切り捨てなければ九千文字には収まらない。なんせ現代ドラマ、という全く世界設定の説明が要らないジャンルでさえ一万字といえば出来ることに限りがある。
異世界ファンタジーとなればなおさらだ。
じゃあ、これは何を切り捨てているか。
世界設定だ。
は? 上でそれは逃げって言ったじゃないか。と思ったことだろう。
そうではない。説明する部分を極端に狭めているのだ。
本作で解説されるのはもっとも重要な要素であるマナのみ。
マナについては事細かに解説されるが他の要素はほとんど解説されない。
けれど、それでいいなと思った。
これこそが短編である。
短編の良いところはある程度、無茶苦茶出来るという点。
例えば、これが長編ならマナをなぜ固体にしてはいけないか。固体にするとあんなことが起こったか。というのをより詳しく解説する必要があるだろう。
だが、短編ならその必要がない。
短編というのは究極的に言えば雰囲気を楽しむものだからだ(私はそう考えている)。
少ない文章で最低限の情報を与える。
あとは読者任せだ。なんか感じ取ってくれ、くらいでいい。
多くは語らない、というのが美しい。
マナの解説も的確であったように思う。読者がきちんと状況を飲み込めるくらいの情報が与えられていた。
人は選ぶだろうが、良作ではあると思う。
こんなものだろうか。
それでは。
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