~唯一王の成り上がり~  外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様 著:静内@唯一王の成り上がり

 王道系追放ファンタジー俺はハーレム、仲間は没落。助けて?  もう遅い!



 ここから感想。


 

 最初の印象は、読み合い企画に似合わない大型の作品が来たな、だった。

 読み合い企画というのは基本的に読まれない作家さんが読み合ってアドバイスする、というのが本質だと考えている。(私の読み合い企画はこうやって感想をしっかり書くという若干の違いがあるが)。



 それでいうとこの作品は非常にたくさんのPVをすでに得ている。読み合う、というのはかなりの労力を使うものでこういう作品がやってくるとは思わなかった。

  

 というわけで、前座はこのくらいにして本題に入ろう。



 キャッチコピーにもある通り、これはザ・テンプレを行く作品。

 しかしここでいうテンプレはジャンプで言うところの『友情・努力・勝利』ではなくライトノベルなどの『追放・チート・ざまあ』の方。


 いわゆる『なろう系』と呼ばれる作品だ。

 昔は異世界転生チート系を称して『なろう系』と呼んでいたが、こういうバッファーが無能だと勘違いされて、パーティーから追放されるのも『なろう系』として結構盛り上がっているイメージがある。


 流行っている理由はそこまで深く知らないが、このジャンルだと『ざまあ』と『主人公最強』をどちらも描くことが出来るからかなぁ、なんて思っている。

 

 ただ、こういう流行っているジャンルの強みは非常に明確だな、と読んでいて感じた。

 流行っているジャンルというのは、基本的に読者がある程度の知識を持った状態で読み始めることが出来る。


 例えば、スマホゲームで『スタミナ』という概念が出てきたら、「ああ、あれね」と特に説明されることもなく何かわかるだろう。これはスマホゲームが流行ったからに他ならない。


 つまり、流行っているジャンルには共通の前提認識があるのだ。

 今回の作品では、主人公が追放されることにそこまで大した理由はいらないし、魔法が使えるというのも当たり前のことになっている。

 

 バフ魔法を使えば不思議な力でパーティーメンバーが強化されるのは当たり前だし、ポーションを飲めば傷も治る。


 Sランクパーティーなんて凄まじい肩書を持っていたとしても、それが主人公のお陰である、と気づけないパーティーメンバーもいて当然なのだ。


 これが流行っていなければ、「Sランクパーティーなのにパーティーメンバーの能力と自分の能力をきちんと把握してないなんておかしいと思います」という文句の一つでも飛んできたことだろう。

 しかし、そうはならない。なぜならばジャンルとして確立されているから。


 最近流行ったもので言うと『東京リベンジャーズ』などもその類だ。主人公がタイムリープすることに何の違和感もない。

 なぜならばタイムリープものというのはジャンルとして確立されているから。


 web小説という出来るだけ描写を削りたい媒体では非常に大きな利点だなぁ、と強く感じた。



 さて、ここまでジャンルの強みしか語ってこなかったので、最後にこの作品の良いところについて語ってから筆をおくとしよう。



 まず、テンポが良い。

 上で語った流行っている強みを最大限生かした読者を離さない非常に早いテンポで進んでいく。これは素晴らしい。

 話が進まないと読者は離れていってしまう。しかし、この作品は怒涛の勢いでストーリーが進んでいくためその心配はない。


 また、視点の切り替えが上手。

 基本は一人称視点であるが、途中で入る三人称視点で、読者に様々な情報を教えて、想像を補完させるということが非常に上手だった。


 こんなものだろうか。

 それでは。



作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054921435730

作者URL:https://kakuyomu.jp/users/yuuzuru

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