玉川上水緑道を歩く 著:くろ
水の流れを眺めながらただ歩く
ここから感想。
と、いつもなら感想を書いていくところなのだが、この作品で楽しむべきは「内容」というよりも作品全体の「雰囲気」のような気がする。
作品内で劇的な何かが起こるわけでもなく、淡々とつづられていく日常。
パソコンが使えるから、と事務職を命じられた主人公。
若くして、事務職についてしまった苦悩を描き、さらには事務職に就いたことによる周りとの歪んだ関係も示唆される。
そして、そのストレス発散方法として、『歩く』という行動が出てくるわけである。
これが長編となればゆるキャンみたく、『歩く』という行動自体に幅が出てきたり、ウォーキング仲間みたいな人物が出てくるのだろうがこれは短編だ。そんなものは出てこない。
けれど、この作品の良い雰囲気は短編ならではだろう。
明確な起承転結がそこまで求められていないからこそ、このただの日常が成立する。長編だと作品として成立しないだろう。
だが、それでいいのだ。
長編だと成立しない、とか起承転結がない、だとかそんなことは些細な問題である。
これは誰かの日常を少しだけ覗き見る、そんな作品だ。
日常を覗いてるんだから何か劇的なことが起こらなくたって何の不思議もない。
良い作品だった。
それでは。
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