その28

伊勢原駅北西約650メートル

井崎コロニー


伊勢原駅北口を出て北西に10分ほど歩くと、住宅街の一角に大きな平屋の民家があった。

築80年を超えた古い木造住宅だったが、この家を立てた人物の財力を表すように骨太で堂々とした家だった。

それだけでなく、この家は他にも大きな特徴があった。それは、屋根の直下に大きな口を開けた穴、分厚いガラスが張られた屋根、その屋根には矢印状の光る標識。

これらは屋根裏に設置された井崎コロニーに離着陸する航空機が使うものだった。

大きな穴から屋根裏に入ると、目の前にハウス・コロニーとしては規模の大きい全長9メートルの滑走路がある。その南側にエプロン(駐機場)、管制塔、事務所、旅客ターミナル、そして50棟あまりの住宅が並んでいるのが見える。井崎一族を中心に構成された井崎コロニーである。


滑走路とエプロンが見渡せる運航事務所の管制室には、航空機の運行管制を担当する井崎美代が管制卓の前に立っていた。長い黒髪が美しい美代は、間もなく帰ってくる父、井崎太一郎が操縦する輸送機C-130H“イザキ・カーゴ201”を待っていたのである。

「レディオ! 今、武道館だ。降りるよ!」管制卓の上にある無線機のスピーカーから太一郎の声が響いた。

「アンノン・ステーション イサキ・レディオ リクエスト ユア コールサイン」(こちらは井崎レディオです。コールサインを教えてください)美代は右手でマイクを握り。左手は腰に当てて怒ったように言った。

「あー、イサキ・レディオ イザキ・カーゴ201 オーバー武道館 6ポイント5 リクエスト ランウェイ・コンディション フルストップ」ムッとしたような太一郎の声がスピーカーから聞こえた。

「イザキ・カーゴ201 イサキ・レディオ ランウェイ・イズ・クリアー ランウェイ02 QNH2998 ウインド340アット10ノット ガスト17ノット ユーズ・コーション」お父さん怒っているかな。美代は、そう思った。

「ランウェイ・クリアー ランウェイ02 イザキ・カーゴ201」やはり、ムッとした太一郎の声だった。

「おやじ、怒ってるぞ」美代の兄、井崎淳一郎は美代の隣で呟いた。

「そうね。でも管制方式基準どおりに無線交話しろと言ったのは、お父さんよ。基準どおりじゃないんだもの、コールサインくらい訊いてもいいでしょ。怒られる筋合いはないわ!」

「はい、はい。オレには、航空業界のしきたりは分からないからな。二人でやってくれ」救急救命医の淳一郎は、やれやれと思った。飛行機のことは二人に任せて医療コンテナの仕様をつめよう。「けんかは、二人だけでやってくれよ」淳一郎はそう言うと、管制室を出て行った。

淳一郎は、伊勢原に点在するハウス・コロニーの住民に巡回検診や急患の応急処置を提供するため、医療機器を取り揃えた医療コンテナを開発していた。このコンテナをC-130に搭載して伊勢原を飛び回り、伊勢原の医療環境を改善したい。井崎一族で、はじめて医師になった淳一郎は使命感に燃えていた。


井崎コロニーの建設が始まったのは、太平洋戦争が終わって間もなくの事だった。

戦前のダイダラ世界で有数の資産家だった井崎良成には4人の息子がいた。膨大な資産が生み出す利益によって十分な教育を受けた息子たちは、長男と三男が海軍兵学校を卒業して海軍士官に、次男が陸軍士官学校を卒業して陸軍将校となった。そして四男は、中学四年生のときに予科練を志願して練習生となった。

運にも恵まれた四人の兄弟は、太平洋戦争を生きぬいた。長男は乗り組んでいた艦の損傷を修理中のシンガポールで、次男は五式戦闘機の操縦士として芦屋で、三男は局地戦闘機・雷電の操縦士として厚木で、四男は飛行予科練習生として土浦で終戦を迎えた。

母親である良成の妻は、四人の無事を喜んだ。戦争には負けても息子とその家族を養うだけの資産はある。「この幸せが末永く続きますように」と、母親は祈った。

だが、この幸せは長続きしなかった。GHQによる農地改革と財産税によって、膨大な資産のほとんどを没収されたのである。

これでは一族を養えない。良成は息子を集めて一族の今後を話し合った。

この席で、次男は突拍子もない提案をした。スクナビに移住すると言うのである。そして新聞の切抜きを父親に見せた。その切抜きには「今が買い時? スクナビ世界の大国、星川の陸軍省が、余剰になった大量の輸送機DC-3を放出」との見出しが印刷されていた。

「お父さん、この記事が本当なら安く飛行機が買えます。この飛行機を使ってスクナビにあるコロニーを回る航空輸送の会社を始めたいと思います」

記事を読んだ良成は、その切抜きを長男に渡した。

長男は何度か頷きながらじっくりと読むと、切抜きを三男に渡した。

「解体にも費用がかかり、星川軍は処分に困っている……だってよ! 兄さん、いけるんじゃないか。伊勢原のこの辺には、スクナビのコロニーがたくさんあると聞いているし。やろう! 兄さん」三男は次男の案に賛成すると、四男に新聞の切抜きを渡した。

四男は切抜きを読んで少し考えた。

「僕はできない」四男の言葉に次男と三男は振り向いた。

「僕ができないのは、兄さん達みたいに飛行機の操縦はできないということなんだ。僕は飛行機の操縦は苦手だ。それは予科練で身に染みてわかったよ。僕はこの飛行機の整備をしたい。操縦士だけで飛行機は動かないだろ」四男の言葉に次男と三男は大きく頷いた。

「とうさん! やらせてくれ! どっちみちこのままではジリ貧だ。お願いします! とうさん!」と言って、次男以下3人の兄弟は良成に頭を下げた。

こうして次男以下3人の兄弟は、「スクナビ」となって本家の屋根裏に移り住み、航空輸送会社、井崎航空輸送を立ち上げた。長男は南方で感染したマラリアの後遺症で体調がすぐれないことと、井崎家を守る者も必要だったため、良成とともに「ダイダラ」にとどまった。

会社を立ち上げた当初は苦しい経営だったが「ダイダラ」の戦後復興に比例するように経営も安定し、周辺のハウス・コロニーとともに生活も安定していった。そして、周辺のハウス・コロニーにとって井崎航空輸送は生活に不可欠な会社となっていった。

井崎航空輸送は、単に人や物の輸送をするだけでなかった。ハウス・コロニーが生産した農産物や工芸品を星川の仲買人に卸して貴重な現金収入をハウス・コロニーの住民にもたらし、反対に星川で食料や生活必需品を仕入れてハウス・コロニーの住民に販売する空飛ぶスーパーマーケットの役割も担っていた。さらに井崎航空輸送は、ハウス・コロニーの住民に急患が発生した場合、急患を星川の救急病院に搬送することもするようになっていった。


月日が過ぎて、次男以下3兄弟は家庭を持ち子どもが生まれた。第2世代となる3兄弟の子ども達は、親の築いた会社をよく守り、第3世代に引き継ぐ土台を盤石なものにした。難しい“二代目”の役割を第2世代の彼らは見事に果たしたといえる。そして、現在は第3世代の子ども達が会社と、そしてコロニーを切り盛りしている。間もなく着陸する太一郎は、その第3世代の最年長者であり井崎航空輸送の代表を受け継いでいた。

第3世代の彼らにとって最大の問題は、DC-3の老朽化だった。程度のよいDC-3を買い換えてしのいできたが、交換部品もなくなり限界が近づきつつあった。

そこでDC-3に代わる新たな飛行機を探すことになった。最初は、機体の大きさや離着陸性能を考えて酒匂軍のC-1が欲しかったのだが、すでに製造ラインはなく、中古機も存在しないことがわかって断念せざるを得なかった。ではどうするか?

そんな時、太一郎が立ち寄った星川の空港で、星川空軍に勤務する顔見知りの補給将校に出会った。挨拶代わりに「いい飛行機はないかな?」と訊いたところ、「それならC-130はどうです? 大船コロニーにモスポールしたC-130が沢山ありますよ」星川空軍の補給将校は、さらりと言った。

その話を聞いた第3世代の彼らは、星川空軍と折衝して3機のC-130を購入する契約を結んだ。ただ、大きくなった機体に対応した滑走路と、エプロン、そして新たな燃料貯蔵施設が必要となった。

「C-130にすると飛行場の維持管理費用も増えるから、ここを井崎一族だけで使うのではなく、他の航空会社にも開放して着陸料を稼ごうじゃないか」太一郎ら第3世代は、そう考えた。そのためには、より長い滑走路、より広いエプロン、より大きな燃料貯蔵施設、そして航空交通管制のために管制塔が必要だった。

こうして、C-130を受け取るまでに、大型旅客機が離着陸できる9メートル級の滑走路、大型旅客機が4機同時に駐機できる広いエプロン、その4機の燃料タンクを4回ずつ満タンにできる大きな燃料貯蔵施設を建設した。

伊勢原で、これだけの規模を持つ空港は井崎コロニーだけだった。

あとは、航空機の運航を管理する管制塔と運航事務所、旅客が休息するターミナルを建てれば他の航空会社を迎えられたのだが、その建設に必要な資金までは手が回らなかった。それでも努力が実り、これらの施設はC-130を導入してから5年も経過した今年になってようやく完成した。ただ、管制塔だけは無線機など管制塔として機能する器材が整わず使えない状態だった。

伊勢原という地の利と、これだけ余裕のある空港なら、多くの航空会社が利用してくれるだろう。太一郎ら第3世代は、そう期待していた。

だが、最初の客は、彼らが期待していたカラフルな旅客機ではなく、灰色の武骨な戦闘機だった。




鈴川 伊勢原駅南約3キロメートル

酒匂王国連邦海軍 開発隊群 通常動力型試験潜水艦<伊400>


<伊400>は、これから設置するハラミ・ステーション予定地横の川岸に接岸した。なんとか目的地に到達したものの、魚雷によって受けた被害は古い艦を徐々に蝕んでいった。

この50分間で機械室の亀裂は少しずつ広がり、今では3台の排水ポンプを使っても排水しきれず機械室の水位は上がっている。1箇所の亀裂を溶接して塞いでも、別の場所に亀裂が走る。内殻全体が大きく歪んでいるため、個別の対応では別の場所に亀裂を生じさせるだけだった。

思いがけない場所に亀裂を発生させるくらいなら、機械室の亀裂をこのままにして集中的に監視したほうがよい。いずれにせよ、いつ破壊的な亀裂が起きてもおかしくない。預かり物を陸揚げしたら総員退艦させよう。艦長・沢地大佐と機関長・森住中佐はそう判断した。


<伊400>が川岸に接岸すると、第306設営隊から派遣された6名は、ドリル、ハンマー、そして杭をもって岸壁に飛び移った。彼らは二手に分かれてコンクリートの岸壁に穴を開け、その穴に杭を打ち込んだ。合計で四本の杭を打ち込んだ彼らは、手を振って<伊400>に合図を送った。すると<伊400>から係留索が投げ渡された。設営隊の隊員は、受け取った係留索をボラード代わりの杭に入れた。

<伊400>が係留索によって岸壁に固定されると丈夫な道板が架けられ、もともと水上攻撃機“晴嵐”の格納庫だった場所から傑作四輪駆動車“ジムニー”と、フォークリフトが出てきた。

“ジムニー”は自ら動けない負傷者を陸に揚げると通信器材の設置に向かった。

フォークリフトは、ヘリコプター用着陸マットやゴム製燃料タンクなどの重量物を陸揚げするため何度も道板を往復した。

人の手で運べるものは、もう一つ架けられた道板に並んだ乗員が手渡しで陸揚げしていった。

セイルでは、沢地大佐が陸揚げの指揮に当たっていた。そこに補給長が駆け上ってきた。

「艦長、燃料の移載を除き陸揚げを完了しました」補給長は息を切らせて報告した。

「ごくろうさん」沢地大佐は、補給長をねぎらうとマイクを口に当てた。だが、総員退艦を声に出すことができなかった。

沢地大佐は、深呼吸すると意を決して再度マイクを口に当てた。「発令所、艦長だ。総員退艦させろ」

総員退艦の命令によって、軍艦旗がセイルのマストから降ろされるのを見届けた沢地大佐は、退艦する乗員の最後に道板を渡って上陸した。

退艦した乗員は、分隊ごとに整列して点呼を行い、異常がなかった分隊は3メートルほど先に設置するハラミ・ステーションに物資を運ぶ作業を開始した。

「艦長、燃料移送ポンプをモニターしに艦内に戻ります」沢地大佐の横に来た森住中佐が言った。

「一人で行くなよ。必ず内殻の監視役を連れてな……若い連中にやらせるわけにもいかんな。ワシが監視役をやろう」

「艦長はここに必要です。それに、<そうりゅう>艦長が来ましたよ」<伊400>の川上に浮上した<そうりゅう>から出された搭載艇が間もなく川岸に到着しようとしていた。

「わかったよ。お前も、もう若くないのだからな。素早く逃げようとしても若い連中みたいに走れないぞ。気を付けてな」

「変な兆候があればすぐに出てきます」森住中佐は応急長を伴って道板を渡って行った。


<そうりゅう>艦長・高原中佐を乗せた搭載艇は、<伊400>のちぎれた艦首付近に接岸した。高原中佐は搭載艇を飛び降りると沢地大佐に敬礼した。

「君のおかげで2発目をくらわんですんだ。礼を言う」答礼した沢地大佐は頭を下げた。

「いえ、護衛する責任は私にありました」高原中佐は、そう言ってちぎれた艦首を見た。

二人の艦長は、無言でちぎれた艦首をみつめた。すると、その先の海面に<カメハメハ>が浮上してきた。

二人の艦長にとって星川海軍の潜水艦を間近で見るのは初めてだった。これまで狩る対象だった潜水艦を仔細漏らさず観察しようと<カメハメハ>を見ていると、カーキ色の制服を着て赤い転落防止ベルトをつけた士官がセイルに現れた。その士官は岸壁を見渡して沢地大佐を見つけると彼に対して敬礼をした。その士官は<カメハメハ>艦長・村田中佐だった。

沢地大佐が答礼すると、あとからセイルに現れた航海科員の手によって発光信号が送られてきた。「発、USS<カメハメハ>艦長。宛、SKUS<伊400>艦長。医官1名、衛生員2名を上陸させる。虫対策のため武装していることを了承されたい」

信号を読み取った沢地大佐は、信号員を呼んだ。

「発、SKUS<伊400>艦長。宛、USS<カメハメハ>艦長。武装の件、了解した。支援を感謝する。送れ」信号員は、沢地大佐の言葉を携帯式発光信号機で<カメハメハ>に送信した。

<カメハメハ>のセイルにいる村田中佐は手を挙げて了解を示した。そのセイルの後方では、上甲板にあるハッチから搭載艇が引き出されていた。

<カメハメハ>の上甲板では搭載艇の準備が進み、船外機を取り付けようとしているとき、<伊400>では、燃料の移送が終わった。

沢地大佐は、再び信号員に向かって言った「発、SKUS<伊400>艦長。宛、USS<カメハメハ>艦長。輸送品の陸揚げ全て完了。送れ」信号員は、その内容を発光信号に変えて送信した。

その時、森住中佐と応急長がハッチから飛び出してきた。二人は走った。

太った森住中佐がポンと飛び出して走り出した姿はまるでパンダのようで、沢地大佐は思わず笑みを浮かべた。だが、なんか様子がちがう。

走って道板を渡る森住中佐は、燃料移送が終わってホースを<伊400>に戻そうとしている作業員に向かって叫んだ。「ホースから手を離せ! 退避しろ! 艦が沈むぞ!」森住中佐は走りながら両手を振った。

「艦長! 沈みます!」といって道板を渡り終え、両足が大地を踏みしめた。

バキバキバキ! <伊400>の艦内から大音響が響いた。それは、内殻が亀裂を通り越して大規模に割れた音だった。

内殻の割れ目からは大量の水が艦内に流入した。行き場を失った艦内の空気は、開いたハッチから埃を伴って噴出した。

そして、<伊400>は沈み始めた。

<伊400>と岸壁を繋ぎ止めていた係留索は、係留させるには十分な強度を持っていたが、艦の重量を支えるだけの強度は持っていなかった。このため係留索は切れると空中に舞い、沈みゆく<伊400>の上に落ちた。

その後の<伊400>は、静かに、そしてゆっくりと沈んでいった。

潜水空母として生を受け、数々の戦闘に参加し、晩年は一線を退いて数々の試験に従事した<伊400>の静かな最後だった。


水を抜いたドックで解体されるのをよしとせず、全ての預かり物が陸揚げされるまで必死に耐えて戦闘艦らしく最後を迎えたのだ。沢地大佐は、そう思った。

「ありがとう<伊400>」沢地大佐は静かにつぶやき、右手をゆっくりと挙げて沈みゆく<伊400>に敬礼した。

沢地大佐と同じ思いだった<伊400>の乗員も、右手をゆっくりと挙げて沈みゆく<伊400>に敬礼した。

<そうりゅう>と<カメハメハ>の乗員も、任務を完遂した直後に沈みゆく<伊400>に敬意を表して敬礼した。

そして最後まで見えていたマストも鈴川に消えた。

我々はあんな素晴らしい潜水艦を持つ国と戦っていたのだ。村田中佐は昨日まで敵だった相手に尊敬の念をおぼえた。「信号用意」村田中佐は航海科員に命じた。

「発、USS<カメハメハ>艦長。宛、SKUS<伊400>艦長。貴艦の見事な最後に立ち会えたことは、海軍士官として最高の栄誉である。送れ」

信号を読み取った沢地大佐は、村田中佐に向かって敬礼した。

敬礼を返した村田中佐は続けた。「発、USS<カメハメハ>艦長。宛、SKUS<伊400>艦長。貴艦の乗員を本艦に収容し、貴国に送る用意あり。送れ」

「え! <伊400>の乗員を乗せるんですか?」航海科員は驚いた。

「大丈夫だ。送れ」村田中佐は、笑って答えた。

沢地大佐の横で<カメハメハ>からの信号を読んだ高原中佐は、沢地大佐に向かって言った。「私の艦で帰りませんか。窮屈な艦ですが」

「そうだな。我々を乗せたとあっては彼の立場も危うくなるかも知れん。高原君、世話になるぞ」

「この機会に、うちの若い者に皆さんの経験を教えてやってください」

沢地大佐はうなずいた。そして信号員に言った「発、SKUS<伊400>艦長。宛、USS<カメハメハ>艦長。本艦乗員は<そうりゅう>にて帰国する。度重なる貴官のご好意感謝に堪えない。送れ」

村田中佐は、手を大きく挙げて沢地大佐の返信に答えた。

村田中佐が立つセイルの後方では、医官と衛生員を乗せた搭載艇が<カメハメハ>を出発しようとしていた。強くなり始めた風のおかげで離艦はスムーズだった。

風が出てきたな。村田中佐は、そう思うと空を見上げた。

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