その15
滑川 鎌倉駅南約700メートル
星川合衆国海軍 NS由比ガ浜(由比ガ浜海軍基地) WESTPACFLT庁舎(西太平洋艦隊司令部庁舎)
星川合衆国鎌倉コロニー
WESTPACFLT庁舎2階、広い第1幕僚室の片隅で二人の士官が声を殺して話をしていた。加藤中佐とWESTPACFLT N-3(西太平洋艦隊司令部作戦主任幕僚)内藤大佐である。
「それで、お前は何と答えたのだ」それまで前屈みになって加藤中佐の話を聞いていた内藤大佐は、身体を起こして椅子の背もたれに身体をあずけた。
内藤大佐は常日頃、海軍士官には2種類あると考えていた。アドミラル・クラブ(将官への昇進を目指す一部のエリート士官)に入れる選ばれし一握りの士官と、よくて中佐までにしか昇進できないその他大勢の士官。内藤大佐は、間もなく准将に昇任して自分の艦隊を持つアドミラル・クラブの一員。目の前の加藤はその他大勢の士官にすぎない。それにもかかわらず、本来ならアドミラル・クラブの大佐が占めるべきCVW司令(空母航空団司令)のポストを中佐の加藤が横取りしている。司令代理とはいえ、司令が欠員のCVWを仕切っているのはこの加藤だ。司令気取りで、でかい顔しやがって!
NWC(海軍大学(大学院的位置付けの高級士官養成機関))の履修や国防総省での勤務を通じて習得する国の政策決定プロセスを知らない人間に、CVWのような大部隊を指揮する資格などない。政府は、議会は、国務省はどのように行動するのか? これらを知らなければ判断を誤り、国を窮地に立たせてしまう。現場の戦術判断が全てではないのだ。現場しか知らない加藤に、そんなことが分かるはずもない。我々アドミラル・クラブの士官は国防総省の、あの長い廊下を走り回ってそれが身にしみてわかっている。加藤には前々から身の程をわきまえろと言いたかったのだが、今度はよりにもよって酒匂との共同などと言い出した。
内藤大佐は「いい加減にしろ!」と怒鳴りたい気持ちを抑えて考えた。加藤に同調して酒匂軍との共同に加担すれば敵対国と通じる危険人物と見られかねず、かといって反対すれば兵力削減中で手持ちの駒もないのにむやみに反対する無能な士官とのレッテルを貼られる可能性がある。准将への昇任直前にそれはまずい。ここは知らぬ存ぜぬで行くしかない。内藤大佐は守りに入った。
「私で判断できる内容ではないので、明日また連絡すると答えました。」そういった加藤中佐は、内藤大佐の変化に気付いた。さっそく守りに入りましたね。内藤さん。「ですので、いまから司令官に報告して判断を仰ぎたいと思います」
その言葉を聞いた内藤大佐は、明らかに安堵の表情をうかべて言った。「それがよかろう」二人はその言葉を最後に話合いを終えた。
反目し合う二人であったが、お互いにお互いを必要な人間だと考えていた。政府の立てた政策を具体的に軍が行動できる作戦命令に置き換える人間と、その命令を現場で実行する人間。どちらが欠けても任務は成功しない。そのことだけはお互いに理解していた。ただお互いの生き方が違うだけだった。
狩野川 沼津駅東約1.8キロメートル
香貫公国軍 S15基地高級将校官舎地区
香貫公国香貫山首都コロニー
戦略ロケット軍司令官、成増上級大将との面会を終えた堀内少将は、参謀長にも増援の要請をした。参謀長も今日の事態を憂慮していたため、堀内少将の要求を全面的に支援すると約束してくれた。それでも堀内少将の不安は消えなかった。問題は時間だ。星川が攻めてくる前に防御体勢を整えなければならない。時間に余裕がないことを念押しした堀内少将は、続いて後方参謀部に向かった。明日、R38基地に戻るときに一緒に持っていきたいものがあったからである。
戦略ロケット軍司令部での調整を終えて、自宅に帰る堀内少将を乗せた車は、S15基地の正門左手に広がる将校官舎地区のさらに奥にある高級将校官舎地区に向かった。将校官舎地区は小さい家が寄り添うように密集し、中級将校以下の家族がそれらの家に押し込められている。それに比べ高級士官官舎地区の家々は少し大きく猫の額ほどの庭が付いているものの、香貫公国における軍人の生活環境はお世辞にも良いとはいえなかった。
娘と妻が待つ家の前で車を降りた堀内少将は、二人に会える喜びを噛みしめて中に入った。
「お帰り。夕飯作っておいたわ」堀内少将の妻、紬(つむぎ)はキッチンテーブルに頬づえをついて堀内少将の帰りを待っていた。
今日の朝、当分帰れないと言い残してR38基地に向かったため、その日の夜に帰ってきた自分を妻が待っていてくれたとは、うれしい驚きだった。「なんだ、戻ってきたのを知っていたのか」
「早川さんの奥さんが教えてくれたわ。あなたが急に戻ってきて司令官に会いに行ったって……大丈夫なの?」
「至急解決しなきゃならない問題があったもんで、それで司令官に会いに行ったんだよ。でも、大丈夫だ」堀内少将は内心の不安を妻に悟られないよう、なにげない表情を装って答えた。
嘘ね。勘のよい紬はそう思ったが、堀内少将の優しい嘘に付き合うことにした。紬は紬で妙な胸騒ぎを覚えていたからである。この人の身に何かある。紬も内心の不安を悟られたくなかった。
「お早いお帰りだね。パパ。よかった」一人娘の凛(りん)が自分の部屋から出てきた。
「凛か、ただいま」堀内少将は一人娘を見つめた。
「どうしたの。何年も会っていなかったような顔をして。明日も帰ってきてね」凛は微笑むと自分の部屋に戻って行った。
「凛は優しい子に育ったな」
「そうね」
堀内少将にとって、家族と過ごすこの一時はかけがえのない宝物であった。この宝を手放すわけにはいかない。なんとしても勝ち取ってみせる。堀内少将は決意を新たにした。
滑川 鎌倉駅南約700メートル
星川合衆国海軍 NS由比ガ浜(由比ガ浜海軍基地) WESTPACFLT庁舎(西太平洋艦隊司令部庁舎)
星川合衆国鎌倉コロニー
加藤中佐は司令官執務室の手前にある副官室に向かった。
菊池司令官は地域統合軍であるUSWESTPACCOM(西太平洋軍)の司令官も兼務しているため、副官室は海軍の他に陸軍、空軍、海兵隊の副官と秘書官が詰める手狭な部屋だった。
よく整頓され、清潔だけれども狭い副官室は駆逐艦の艦内にそっくりだ。ここに来る度に加藤中佐はそう思った。
その副官室に加藤中佐が入ると、女性の秘書官が顔を上げてにっこりとほほ笑みながら言った。「お久しぶりです加藤中佐、先ほどから司令官がお待ちです。今、お電話されていますので、そちらにお掛けになってお待ちください」
「ありがとう。遅くまで大変だね」
「普段は定時に帰れますから…… それと、どこにも行かないでお待ちください。おとなしく待っていただくようにと司令官から言われておりますので。コーヒーでもいかがですか?」
「今日は、ゆっくりとコーヒーを飲み時間もなかったからありがたい」
「なんの騒ぎだか分かりませんが、この騒ぎの原因は、また加藤中佐でしょ」秘書官がそう言いながらコーヒーポットの前に立ったとき、電話の終わった菊池西太平洋艦隊司令官の声が執務室から響いた。「加藤は来ているかな」
「はい。お見えになっています」
コーヒーポットを片手に持った秘書官を見た菊池司令官は「加藤、すまんが私のコーヒーも頼む。コーヒーでも飲みながら話そう」といって秘書官にうなずいた。
菊池司令官と加藤中佐の関係を知っている秘書官は「どうぞ」といって2つのコーヒーカップを加藤中佐に手渡した。
加藤中佐にとって唯一の理解者である菊池司令官との出会いは、加藤中佐が大学3年の夏休みに受けたNROTC(星川海軍予備役士官訓練課程)の海上実習のときであった。
NROTCとは、一般の大学に設置された海軍士官養成課程のことで、大学での単位に加えて海軍少尉になるために必要な教育と訓練を受けて、大学卒業と同時に海軍少尉に任命される制度のことある。名称こそ“予備役士官”となっているが、待遇は正規の海軍士官養成機関である海軍兵学校の卒業生と変わりなく、海軍士官の約4割はNROTC出身者が占めている。
このNROTCは、ほとんどの州立大学に設置されていて、ダイダラにも設置している大学がある。加藤中佐は高校生のときに海軍士官を志してダイダラの大学入学時にNROTCに志願した。
NROTCの訓練は厳しく、週3回の訓練のほかに夏休み期間中のほとんどが水上艦艇での実習にあてられていた。加藤中佐が大学3年の夏休みは、当時艦隊の主力巡洋艦であったベルナップ級ミサイル巡洋艦<スターレット>での実習だった。この実習には指導官も同行するが、このときの指導官が当時中佐の菊池司令官であった。
菊池中佐は、とりたてて優秀ではないが、人間味があって機転のきく加藤候補生に好感を持った。加藤候補生は、厳しいながらも熱心に指導してくれる菊池中佐を尊敬した。
以来、加藤候補生は、学生間では解決しない疑問の答えを求めに菊池中佐の家に通うようになった。加藤候補生が持ち込む疑問は難題が多く、菊池中佐も答えに窮する事もしばしばだった。それでも菊池中佐は加藤候補生を受け入れた。若い加藤候補生の情熱を大切にしたいという思いからだったが、加藤候補生が持ち込む疑問の多くは、よい研究材料にもなった。当時の菊池中佐は、大学院で博士課程の履修を命じられた大学院生であったからである。
菊池中佐のように民間の大学院で博士課程を履修する士官は、エリート集団アドミラル・クラブのトップ数名だけ。まさにエリート中のエリートであった。そんな海軍の人事慣例を加藤候補生が知るはずもなく、菊池中佐も自分がエリートだと鼻にかけることもなかった。このため、お互いに軍の階級を意識することがなくなり、年の離れた兄弟のような関係になっていった。その関係はいまでも続いている。
「報告にはすべて目を通したぞ。それにしても、お前のところの高校生はお手柄だったな」
「私もそう思います。これからが楽しみな二人ですよ。だからこそ、早いところ、うちから出さなきゃなりません。」加藤中佐は菊池司令官にコーヒーを渡しながら言った。
「刑務所航空団にいたら二人の将来に悪影響を与えるからか?」菊池司令官は自分の横にある椅子に座れと手を振った。
「そうです。なんせ、いまだに司令が欠員の航空団なんですから」
「司令を引き受ける者がいないのだ。いつ服務違反を起こしても不思議のない連中がゴロゴロしている部隊の司令になろうなどと考える大佐は今の星川海軍にはいない。当面、お前に司令代理を続けてもらうしかないな」
「うちの隊員は、少々癖はありますがスキルの高いやつらばかりですよ」
「それが問題なのだ。実戦で結果を出す実力を持っているにもかかわらず、懲戒処分を受けた前科者の処遇に中央は困っている。CVW15を解隊して、彼らを別の航空団に転勤させようとしても引き取り手がない。かといって、彼らの高いスキルは捨てがたい。今回の兵力削減でもCVW15が削減候補リストに入っていなかったのは、彼らをどう扱っていいのか結論が出ていなかったからだ」そう言った菊池司令官は、加藤中佐に顔を近づけて話を続けた。
「何度も言うように、お前自身と、CVW15は上層部に受けが悪い。今回の兵力削減では難を逃れたが次はわからない。慎重に行動してくれ。お前を失うわけにはいかない。それとならず者たちもな。わかったな」
「わかりました。ありがとうございます」加藤中佐は頭を下げたが、菊池司令官は加藤中佐の微妙な表情の変化を見逃さなかった。
「なにかありそうだな」
「私の同級生だった三宅を覚えていますか?」加藤中佐は、これからが正念場だぞと思いながら三宅准将と交わした内容を菊池司令官に報告した。
「なんでそれを早く言わない…… それで、お前は酒匂が本気だと思うのだな?」
「根拠はありませんが、酒匂は本気で我々と手を結ぶ気でいると思います」
その答えを聞いた菊池司令官は電話を取った。「CJCS(統合参謀本部議長:星川軍制服組のトップ)と連絡を取りたい。CJCSが、どこにいてもかまわない。至急連絡を取ってくれ」電話を置いた菊池司令官は、加藤中佐の目を見て思った。昔と変わらない目をしている。加藤の話を信じてみよう。
それにしても加藤は運のいいやつだ。これまでなら、こんな報告をした時点で敵性国と通じているとして秘密に接する資格を失う可能性もあった。そうなれば秘密の塊である戦闘機に乗ることは許されず、作戦の立案に必要な秘密情報に接することもできなくなる。必然的にCVW15を追い出されるが、秘密に接する資格のない中佐に転勤する場所なんぞない。加藤は、そうなる覚悟で報告したのだろうが、今や状況は一変していた。
状況が一変したのは3日前、大統領官邸の地下で行われたNSC(国家安全保障会議)の席上で荒本大統領が放った一言からだった。「軍は、紛争が発生すると我が国だけで対処しようとする。平和を信奉する我が国は、単独で紛争を解決すべきではない。国際世論の要請を受けて、しかたなく軍を派出するのであって、他の国から派出される軍と協調して紛争を解決しなければならない。たとえ我が国だけに対する直接的脅威であっても、「スクナビ」世界の文化・経済の中心である我が国を支援する国はたくさんある。それらの国と協調して事に当たらなければならない。それにもかかわらず、なぜ軍は自分たちだけで紛争を解決しようとするのか? それは、巨大化しすぎた軍を維持する理由が必要だからだ。この問題に関しては、軍から納得できる説明をしてほしい。場合によっては、単独で対処できないほどに軍を縮小することになるだろう」
荒本大統領による、さらなる軍の縮小宣言であった。
激しい批判にさらされても星川が軍縮を強行したおかげで「スクナビ」世界の軍縮が達成され平和な社会が訪れた。その偉業を成し遂げた大統領こそ荒本大統領だと後世に評価してもらう。それだけが荒本大統領の目的なので、軍を縮小する理由は何でもよかった。荒本政権発足当初は、その理念が国民から熱狂的に歓迎されたが、ATO(綾瀬条約機構)諸国や香貫公国に軍を縮小する兆候は見られない。一方的な軍の縮小は、星川の策略ではないかとの疑心暗鬼を生じさせ、逆に緊張が高まっていた。対話を通じてお互いに信頼関係を築き、その上で自らの理念を実行に移すというプロセスをふまず、何の説明もないまま一方的に軍を削減するだけでは敵対国のみならず同盟国も戸惑うばかりだった。国民はこのような政権に見切りをつけ、荒本大統領への支持率は急降下していた。連邦議会も与野党問わず、これ以上の軍の削減には反対だった。
だが、反対が強くなればなるほど後世の評価が高くなる。そう信じる荒本大統領は、だからこそ軍の縮小を強行しなければならないと考えていた。
このような大統領に軍の縮小を断念させるためには、その理由が事実無根だという状況を作るしかない。その意味で酒匂と協力することは、その状況を作る絶好のチャンスだ。CJCS(統合参謀本部議長)もそう考えるだろう。菊池司令官はそう確信した。
「CJCSは国防総省にいらっしゃいました。電話に出られます」秘書官からの報告を受けた菊池司令官は、盗聴防止装置の付いた赤い電話の受話器をとって、CJCSが電話に出るのを待った。
CJCSが電話に出ると、菊池司令官はいきなり用件を話し始めた。「議長(CJCS)、香貫のミサイル基地の件で新たな展開がありました……いえ、香貫からの攻撃ではありません。この件で酒匂、酒匂王国連邦からコンタクトがありました」菊池司令官は加藤中佐から受けた報告をCJCSに伝えた。途中、加藤中佐は何度も菊池司令官が話す内容に間違いありませんと確認するように何度もうなずいた。
「まさにそのとおりです。POTUS(星川合衆国大統領の略語:現在は荒本大統領)はどうお考えになるか分かりませんが、POTUSの意向に沿っていることは間違いありません……はい。私も、まずは会って話し合うべきだと思います……はい……はい。わかりました。お待ちしております」
CJCSとの電話を終えた菊池司令官は、加藤中佐に向きなおって言った。「CJCSも酒匂と組めるなら組むべきだと言っていた……そんな不思議そうな顔するな。これには理由があってな……」
菊池司令官は、荒本大統領による新たな軍の縮小宣言を加藤中佐に話した。「……というわけだ。だが敵対国の酒匂と協力するとなるとPOTUSの許可を得なければならん。CJCSは、明日のNSC(国家安全保障会議)で許可をもらう腹づもりのようだが、その前にAPNSA(国家安全保障担当大統領補佐官)と相談するので、少し待っていろとのことだ。一緒に待っていてくれ……おかげで、久しぶりにお前とゆっくり話せる時間が取れたな」
だが、ゆっくり話をする間もなく赤い電話が鳴った。
「……いえ、加藤中佐はUSWESTCOM司令部(西方軍司令部)にやって、酒匂と会う準備をさせたいと思います。POTUSへの説明は私が行います……はい。では明日」
加藤中佐は、事の急速な進展に戸惑った。菊池司令官に酒匂の件を報告してから30分もしないうちに大統領官邸は知ることとなり、明日にはPOTUSが何らかの結論を出す段取りが整えられてしまった。国家指揮中枢で働く人々の決断力と行動の素早さに、ただただ驚く加藤中佐だった。
「何をボーっとしているんだ。POTUSへの報告は、お前がやりたかったのか? だが、お前はあまり表に出るな。お前の手柄を妬む連中に足元をすくわれる可能性がある。お前をそんな目にあわせるわけにいかん。酒匂の件はトップダウンで進めるほうが軍のためにもお前のためにもいい」
酒匂の件は、すでに自分の手に負えないレベルに達したと感じた加藤中佐は黙ってうなずいた。
「明日は予定どおりUSWESTCOM司令部(西方軍司令部)に行ってくれ。ただ、明日、USWESTCOM司令官は私と一緒にNSC(国家安全保障会議)に出席することになった。報告する相手がいなくなっても行く理由は、酒匂と会う準備をするためだ。頼んだぞ!」
「わかりました。うちの情報部員は、まだ明日の報告に使う資料を作っているはずですから、必要なくなったと言ってきます」
「そうしてくれ……他に話しておきたいことでもあるか?」
「積もる話は山ほどありますけどね」加藤中佐は笑って答えた。
菊池司令官も笑った。「この件が片付いたら、お互いに時間を作ろう。約束だぞ……久しぶりに戻ってきたんだ。今日はもういいから、琴乃(ことの)ちゃんの顔でも見て来い」
「ありがとうございます……まだ仕事ですか?」
「USWESTCOM司令官とも話をしなければならん。お前は、気にせず早く帰ってやれ」
加藤中佐は、再び礼を言って横山少佐がいる情報幕僚室に向かった。
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