第7話 日は高く。
遥斗と文化祭を回る、といっても結局はバレー部のミニゲーム形式の出し物に夢中になり、その後は永遠と食べ物を貪っていた。まあ、それはそれでいい思い出なのだろうけど。
「私そういえばこういう風なこと友達とやるの初めてだった。」
「お!俺が1番!」
「はいはいそうだねー。」
すぐ調子乗る…。「冷たい!」なんて叫んでるので流石に周りのお客さんに迷惑だと、とりあえず軽くチョップした。
「それにしてもさあ、藍は中学私立じゃなかった?」
「まあね。でもバレーか入院しかしてなかったから特にイベントとか関わってないんだよね。」
「入院は置いといてバレーって藍って感じがする。」
「よく言われる。」
本当によく言われた。私と話す話題なんて多分バレー以外だとなんだろうと自分でも考えるくらいだ。
でも最近は絵梨奈の勧めでインスタを初めてはみた。あとLINEは何かにつけてあゆみとか斉藤さんとかが「可愛いスタンプ使ってみて!」とか「この着せ替えかわいいよ!」みたいな感じで毎日色んな人からクーポンだとか着せ替えだとかスタンプだとかオープンチャットのお誘いとか合わせて30件くらい来る。(最初はただとのホラーか何かだと思った。ごめん。)
「あ、そういえば俺藍とLINE交換してないや。」
「あ、そういえばそうかあ。」
「じゃあ交換しよう。」きっちりはもった。それがなんだかくすぐったくてちょっと面白可笑しかった。
『よろしく』と簡潔な挨拶とこの間絵梨奈とあゆみ監修の厳選されたぐでんとしたショートカットの女の子のスタンプを送った。
「まじか。なんか藍こんな可愛いスタンプ送るんだ…。」
「…べつにいいでしょ。」
少しもやもやする。私だって一応女子だと思われてるとは思っていたからだろうか。
「いやさ?何かギャップにキュンみたいなあれ。」
「ギャップって何?」
「何これ。俺だけ恥ずいやつぅ。」
顔を突っ伏している遥斗に私はこう言った。
「後夜祭さ、一緒に踊る?遥斗が良ければだけど。」
遥斗は突っ伏していた体勢から勢いよく起き上がり、きらきらした目でこちらを見つめてきた。
「絶対踊る!!」
「じゃあ、6時に、昇降口に待ってるから。」
なんとなくだけど、他の人と違う。胸がギュンとなって熱くなるこの感覚は心地よかった。
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