千年後の世界
神魔の大戦から千年。
人間、亜人、精霊、聖・魔獣、天使、魔族、竜種や魔物などの多種多様な生物達が生きる世界エデン。東西南北の4つの大陸と、それに囲まれるように海上に浮かぶ中央の大陸が存在する。神魔の大戦を生き残った人々は皆で協力して土地を開拓して集落を作り、狩猟、農耕を営み、少しずつではあるが確実の人口を増やしていた。
人々は村を作り、町を作り、国を作り、千年もの時間をかけて少しずつ生存圏を拡大していった。しかし、未だに世界の争いの種は尽きず土地や食料、宗教や他種族間での争い、悪魔や魔獣との戦いなど世界はいまだ混迷を続けていた。
この千年で魔法技術は格段の進化を遂げていて、人類の生存を助ける大きな力となってきた。地水火風を操る4大元素魔法、身体の傷や状態の異常を癒す治癒魔法、特別な資質が必要とされる光闇魔法、重力魔法や時空間魔法。神獣や魔獣、精霊と契約し使役する召喚魔法や精霊魔法などが代表的な魔法となるが、他にも神との契約を必要とされる神代魔法(神魔の大戦時の記録にのみ登場)、反対に力のある悪魔、魔神との契約が必要な混沌魔法、その他既存の魔法から派生した様々な魔法も存在し日々研究研鑽されている。
5つある大陸の中央に位置する大陸には最も多くの人類が住み複数の国が建つ。その中央の大陸の東に位置する海にはヤマトと呼ばれる列島がある。その列島の最北にはトウヤと呼ばれる周囲を険しい山脈に囲われた広大な湖と森が存在する。樹木や野草が生茂る森は大戦以降魔物も多く生息しているため、力なき者の立ち入りを拒み、腕に覚がある者ですら森の奥に入り過ぎると無事に帰ることは難しい。
トウヤの湖の中心には、天にまで届くような巨大な樹々が群生しており、その樹々の中心には雲を超えるがごとく枝葉の伸ばし、山のように大きく太い幹をもち、根を地中奥深くまではりめぐらせた巨樹が存在する。巨樹は大戦以前から世界を見守り、神との邂逅をも可能すると伝えられており「生命の樹」と呼ばれている。生命の樹の周囲には千年前の大戦の生存者達が作った町「セフィロト」があり、生命の樹は町の住人達に神樹として祀り敬われ大切にされている。
生命の樹には大戦の言伝えがある。
「生命の樹」は神魔の大戦中には人類の砦となっていて生命の樹に宿る精霊が人々を守護していた。ある日、生命の樹の砦で疲れ怯えて暮らす人々の下にヤマトの神が降臨した。神は人類が神魔の大戦を生き抜くことが出来るようにと、「魔法」と「ギフト(才能)」を人々に授けた。
さらに神は一人の青年と契約を交わし神の力の一部を貸し与えた。神の力は絶大で、青年とギフトを授けられた者達は人々を襲う悪魔や魔物達を次々と倒していった。青年は戦禍の中を逃げ惑い助けを求める人々や、他種族の亜人、妖精、精霊など、分け隔てること無く助けては生命の樹の砦に連れて帰り、共に生きる仲間として差別なく手厚く迎え入れた。
いつしか青年の周りには、助けられた者達が種族が垣根を越えて大勢集い、里を作り互いに協力し助け合って生きていた。青年は「契約者(コントラクター)」と呼ばれ、時代に生きる者達の希望となっていった。
だが、そんな状況を悪魔達がいつまでも見逃す訳も無い。ついに大罪の名を持つ魔王が里へ降り立った。魔王の力はあまりにも強大で、契約者といえども「人間」という種族の青年には太刀打ちできる存在では無かった。
青年は自身と仲間達の生命力を代償に捧げて、限界を超えて力を引き出し戦った。
結果、魔王を退けることには成功したが、契約者と仲間達は皆命を落とし、遺体すら残ることはなかった。
残された里の者達は契約者達の死を悲しみ、今後の悪魔達との戦いに絶望したが、何故かそれ以後は悪魔達が里に姿を現すことは二度と無く、神魔の大戦は終わりを迎えた。
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