第25話 最近の力関係
号泣即落ち取り調べプレイから数日後の事。 今日も元気にアニソンを歌い舞う私の下に神材派遣会社シンディードの責任者を名のる宇迦野さんと言う女柱から私のスマホに連絡が入った。
なんでも出雲さんからの紹介で喫茶店の職神の紹介をしたいとの事だった。
号泣即落ち取り調べプレイの一件で人事権と信用を失った私は、再度こちらから連絡をすると言う事で連絡先を聞き電話を切った。
私は直ぐに運命の女神フォルトゥーナことフォルさんに報連相を行う。
「シンディードの宇迦野さん? 確か高天原一の眷属数を誇る巨大団体の美人理事長さんでしたの」
どうやらフォルさんは宇迦野さんの事を知っているようだ。ふむ、美人理事長とは興味深い。
人間と変わらぬ肉の体で生活をしている私は大きな変化を感じていた。
私は今までに美しい神あれ人であれ慈しみや愛と言う感情、言って見れば子を思う親としての思い以外を感じることは無かったのだが、最近アニメ漫画やラノベに登場する女性の個がそれぞれに持つ可愛さや美しさに愛おしさや狂おしさを感じて魅力を感じてしまうようになってしまった。
よく迸る私の熱い
そう、可愛くて美しい彼女達には思わず贔屓をしてしまう位にはフィーバーしていると言っても過言では無いだろう。しかしみんな安心して欲しい。この宇宙はすべてが陰と陽、光と影が存在するのだ。
私が何を言いたいのかと言うと、宇宙の因果を安定させるために、彼女達を贔屓する分イケメンを冷遇するから大丈夫、と言う事だ。
彼女達を1贔屓したらイケメンを10冷遇することに決めている。私の計算では、宇宙の因果律が1対10で彼女達に優しさをあたえ、しかも優しさ貯金まで出来ているはずなので何の問題も無いだろう。
公平?なにそれ食えるの?そんな言葉は知らないな。そもそもイケメンは生まれた時から公平の外に存在する者だ。
さんざん良い思いをしてきたのだから、その分厳しい試練をくれてやらねばならぬ。これも立派な親の愛。
泣くほどきつく取り立ててくれるわ!
良し、そうと決まれば宇宙イケメン税を制定しよう。イケメンは少し厳しい位が丁度良いのだ。
ん。本音はだって? それは前にも言っただろう。 「イケメンは嫌いだ」って。
「調理は私が、お店の店員さんにはホール係をアルバイトさんにお願いする予定なの」
フォルさんはお店の人事案を発表する。
「可愛いと美しいは私が担当するの。後はお色気と、ショタと純情な少年役、臨時で働ける暇で真面目な柱が数神必要なの」
私は同志フォルの人事案を吟味する。可愛いと美しいは置いておいて、お色気とショタ(男の娘)は興味深い。しかし純情な少年は少しいただけない。純情な少年は空回りするに決まっているのだ。
同志フォルよ、お色気とショタは大変宜しいが、純情な少年というか男は要らないのでは?・・・、無いでしょうか。
同志フォルの冷たい氷のような視線と受けて私は息をのんでしまう。
「はあ、少年がいらない?はあ!?」
瞬間湯沸かし器の様に熱くキレてしまった。
「純情で純真な青年になる前の少年は、疲れて傷ついてささくれてやさぐれた、私の心の深層ケアしてくれる大切な特効薬なの!」
ジロリと私を親の仇を見る様な目で睨むと最近よく聞くあのセリフを言う。
「これ以上は殺し合いになるの」
フォル氏の迫力に負けてしまった私に出来る事は、
「それは、確かに必要で重要ですね。是非採用しましょう。はい、採用はフォルさんの好み、いや裁量にお任せします」
「当たり前なの!」
・・・・・・。
何時からだろう。何時から私達のパワーバランスが崩れてしまったのだろうか?
何時から私は彼女に頭が上がらなくなってしまったのだろうか?
何で私は彼女の手下みたくなってしまったのだろうか?
分からない。分からないが、少し気持ち良く、ドキドキしてしまう自分がいるのは秘密である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます