第11話 神様 倍○し
目を覚ますと私は自室に布団に寝かされ、点滴を受けていた。目の前にはスクナビコナという初老の医師がいて、私の治療をしている所みたいだった。
私が目覚めたのを確認するとスクナビ先生は助手になにかの指示を出す。助手が部屋から出て、暫くすると出雲さんが部屋にやって来た。
出雲さんはとても慌てた様子で部屋に飛び込んで来て、私を見るやいなや、泣きながら私の胸に飛び込んで来た。
馬鹿野郎、髭の親父はお断りだ!
怒りの力で時間が止まる。ああ、時が見える。
布団で起き上がっている私に両手を広げて飛び込んで来る髭親父。私は髭親父に対して、咄嗟に半身に構える。飛び込んで来る髭親父の後頭部に右手を当て勢いを殺さず軽く引き込み、左手を髭親父の丹田の辺りに添え、舞いで培った円の動きで奴の浮いた体に力と流れを乗せてやる。
髭親父は面白いくらいに回転しながら後ろに飛んでいく。
左手は添えるだけだ、分かったか、髭!
スクナビ先生は突然目の前で起きた事態にまだ脳がついて行っていないらしい。
私に対する飛び込みセクハラの容疑者髭と、それを撃退するために仕方なく自衛の力(これは決して暴行ではない)を使わざるを得なかった、被害者の私を見比べ少しだけ震えている。
その様子を見て思う。私は少しキレやすくなってしまったのだろうか。
以前の私は「仏の御心」と呼ばれる温厚な神だったはず。
これも人の身の弊害なのだろうか。
悲しいものだ。
まあ、それはそれとして、
どういう訳かは知らないが、私の研究室の無断で侵入して、私の体を好き勝手してくれた、落とし前は、しっかりと付けて貰わなければならないな。
私は、やられたらやり返す、〇返しだ!
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