第11話

しかし、優しい世界に浸っている間もなく、様々な問題が訪れるのが政治の世界だ。

西暦867年1月4日を迎えたモンテギュ伯領には、徐々に発展する街や教会領についての取り決め、隣接する伯爵領との付き合いなど、引き続き取り決めなければならないことが山積している。


伯領首都のモンテギュ男爵領の南、タルモンには、活発な商業を促すため、タルモン市を設置。現在、信頼できる御用商人であったジャスペールを市長に任命し、その都市開発を担ってもらうこととした。その資金援助については、無尽蔵の資金を使うこととしたが、クリスティアンお得意の建物生やしが何故か使えなかったため、こちらは常識的な速度での発展をしていくことになるだろう。

さらに領都東部・モレヴリエには教会を建設し、モレヴリエ教区を設立、こちらはチエオルノス先生の管轄とした。ドンドンと建物が生えていく様子を見て、チエオルノス先生はニコニコであった。


一方領土外へ目を向けると、ロアール川を挟んで北方には、先年争ってからしばらくの平穏を保っているブルターニュ王国の首都・ナントがある。ブルターニュ王・サロモンは、先の戦争で疲弊した国土の立て直しのため、動く余裕はなさそうだ。

モレヴリエ教区の北東には、森林を挟んで西フランク王国アンジュー伯爵ウッデ・ド・ロベールのソミユール伯爵領が広がっている。さらにモレヴリエ教区とタルモン市の南には、クリスティアンと同じく取り立てられた新興貴族、西フランク王国トゥアール伯爵ジョフロワ・ド・トゥアールの所領がある。以上北・東・南を三つの領邦に囲まれ、西に大西洋が開かれているのが、我がモンテギュ伯爵領である。


トゥアール伯爵とは、先の戦いで戦陣を共にした間柄ゆえに、友好的な関係が築けているため、引き続いての付き合いを続けるつもりだ。

翻って、アンジュー伯ウッデは御年10歳、昨年、父親であるアンジュー公爵ロバート・ド・ロベールが、北欧からの略奪者・ヴァイキングとの戦いであえなく戦死、同時に母も流行病で亡くし、公爵位をよそ者のフーゴ・ド・ヴェルフなる人物に簒奪されてしまうという、悲劇に見舞われた人物なのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ウチの領主様は・・・神かもしれねぇ・・・ カゼタ @kazeta2199

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ