第10話 いわゆる現状の説明回です。2

さらにこの二日間、建物を生やす主君と、それをさも当然と受け止める友人達以外の違和感を探ってみたが、やはりどこか言いようのない違和感があるのは否めない。


それは、主君が伯爵に取り立てられた際に国王陛下が、「はい、マニュアルあげるからガンバ!」と、軽いノリで主君が賜った王国の儀礼について簡単に纏められたハンドブックを確認して、確信に変わった。


領土・家の継承者を決める際の規定項目から、女性の相続を一切禁止する旨の記載が、まるで最初から無かったかのように綺麗サッパリ消えてしまい、王国ですら女性の継承が可能となっていたのである。


私の記憶によれば、いわゆるサリカ法に規定される、フランク文化における相続・継承法によって、女性の相続など認められずに、女系相続&政略結婚で別家に乗っ取られる形になった家など、ゴマンとあった


あの落雷以来の、外交や儀礼にに関連する違和感については、現状は以上だろうか。なにしろあれから3日しか経っていないので、まだまだ現状と認識の乖離の埋め合わせ作業は続いている。建物を生やすクリスティアンが打ち出す概念が理解不能な政策方針、家宰フラヴナが超覚醒して収益を改善させつつある財政、隣国の伯爵のケツのホクロの数まで即座に調べ上げてしまう密偵頭ヴァランス…まず友人の変化にドン引きであるが…

しかし、不思議と世間に漂う空気は、そこはかとなく優しく、他者に寛容になった様に感じるのは何故であろうか…

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