第7話 その頃神(35歳フリーター)は…②

 オオヤマによってランダムに選ばれた、西フランク王国、アキテーヌ公の臣下、モンテギュ伯・クリスティアン・ド・オセールは、とりたてて優秀な能力を持った伯爵ではないようだ。温厚で寛容な文官系の人物のようである。ゲームのシステム上、各キャラクターにはそれぞれの特性と、統率力、外交、内政、知謀、学識能力、戦闘能力が設定されているが、それぞれ最高の能力を持つ人間でも30、システム上の最高値は100までとなっている。クリスティアンは統率力8・外交9・内政18、学識能力9、戦闘能力6といった具合で、まず優秀な内政官、さらに慈悲、寛容、忍耐といった特性を持っている。

 モンテギュ伯の内情は、領民の支持率が90%、家臣たちの評価も平均99%と、愛された領主であることを示している。しかし、国庫は枯渇気味のようで、金貨23枚が現在の全財産だ。街を発展させるにも、金貨200枚以上かかるというのに、ひと月の収入が金額3枚とは…


「そんじゃまぁ、早速チート表の出番ですな!えーと、金貨を増やすのは…ほうほう、こーやって?増やしたい数を入れりゃいいのか?んじゃあ999万枚、っと!」

 ジャラジャラジャラ〜っと効果音が鳴り表示が999万飛んで23枚となった。この世界で一番の金持ちの誕生だ。

「あとはクリスちんを超人にしよう!能力を全部100にして、と……ん?特性も弄れるんか。したら、ガチムチで万能の天才で、勇敢で軍事の天才にもしちゃろう!……ん?『股間にビッグ・マグナム』?お、ええやん!イケメンにビッグマグナム!…あかん、ちょっとムカついた。あとは…聖人君子のような特性も突っ込んで、と…おお!新生クリスチンがでけたで!!」

 シミュレーションゲームをしながらの独り言ほど虚しいものはないが、お構いなしにオオヤマは語る。まるで解説のようだ。ご苦労さん。


 そのほかにも、評議員たちの特性も色々いじってみた。司教が77歳の高齢者だったので、40代のちょいワルオヤジにしてみたり、元帥は狂戦士ばりのガチムチにしたり、家宰も金儲けの達人にしたり、密偵頭の娘は超美人に仕上げたりした。しかし、何故かクリスチンの親友、宰相のロジャーだけは一切のチートを受け付けなかった。バグかな?とオオヤマは軽く流して、新生モンテギュ伯爵家の猛烈な発展を推し進めていくのであった。

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