第4話 全裸なる決意表明
やたらと善良な人間性を見せつけてくる同僚、やたらと肉体美・オーラを見せつけ放ちまくる上司に思考停止している私であったが、いつまでも愕然としているわけにはいかないため、現実に帰還する。ひとまず上座の露出狂だ。
「伯爵様、閣下、その、全裸はちと、コーキョーノフクシ的にマズイのではありますまいかと愚考する次第でありましてですね・・・というか、アナタ達、ダレ?っていうくらい激変してない???」言ってるそばからヴァランスになまら睨まれた。
クリスティアンは自身の身体をふと見ると、天上に流れる音楽のような美声で、微笑みを浮かべながらこう言う。
「すまない、わが友ロジャーよ。あの雷に打たれ、わが衣服は跡形もなく燃え尽きてしまったのだ。今、使いの者に衣服をそろえさせているが、そのような些事は捨て置かねばならぬほどの問題が発生しておるのだ・・・」
偶然か、彼が悲しそうな顔を見せると、たちまちに天は掻き曇ってしまった。おかしい。妙に自身の裸体に自信のなかった彼が・・・それに、そこまでの大問題とは一体なんだ!?領地経営に問題はなかったはずだが・・・
「今、その問題をこの円卓の俎上に上げるところであった。どうか着席し、最後まで聞いてほしい、友よ。」
私はその真摯な迫力に押されて、着席せざるをえなかった。
「私は雷鳴とともに、神が降臨されたのを感じ、そして言葉を交わした。神はこうおっしゃった。『天上よりそなたたちの暮らしぶりを見てきた。勤勉なるそなたたちに、この世界を変える力を与えんと決心した。これから我がそなた達に力を与える。無尽蔵の金・名声・信仰心である。さらにそなたの仲間たちも、使徒にふさわしき能力を授けた。・・・ん?あれ?ちょ、ロジャーだけなんかバグって?・・・ん、まぁいい。諸々はこの聖書に纏めておいたから。困ったらその聖書を開けば、私に連絡が取れるであろう。この力、努々他者を陥れたりすることに、使ってはならぬぞ・・・・・・・』」
私は言葉を失った、あの宝物庫爆発事件は神のご意志であったのか・・・ん?バグってなんだ?なんか俺だけ失敗したっぽいんだけど・・・?
「おお、なんという・・・なんという奇跡じゃ・・・」
チエオルノス先生は滂沱の涙を流しながら神へ祈りをささげている。
しかし・・・このようなことが起こるとは信じられない・・・
「さて、あまりに突然の出来事に、皆も呆然としているであろう。しかし、私は一刻も早くこの力を我が領民の暮らしの向上に役立てたいと思い、こうして皆に急いで集まってもらったのだ。」
クリスティアンはやおら立上り、鋼の意思を込めた物言いで、これからの計画をぶち上げる。
「まずは神より頂いたこの力を試すため、2か月でこの領土を国一番の豊かな城塞都市にしたいと思う!」
ブン!と腕をふり、ついでにご子息もブルンと振りながら決意を露わにしたわが友に、ひとまずの混乱は置いておいて、力になりたいと強く思わせてくれる声であった。
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