第15話 見えない敵

 8月中旬、東海とうかい警察署に全裸の女性が倒れていると通報がある。

 警察官が現場に到着すると何もない。

 通報者に確認するが目を離した隙にいなくなったという。

 さらに8月下旬、東海警察署に全裸の女性が倒れていると通報がある。

 この時も女性は見つからない。。

 しかし、東海警察署には、8月中5件の女性行方不明の捜索願が届けられている。


 9月上旬の夜10時頃、米霧香奈よねぎりかなは帰宅するため夜道を歩いている。

 香奈は、浜田はまだ駅近くのラブホテルで男を一人切り裂いて殺した帰り道である。

 途中、何か違和感いわかんを感じ、歩く速度を落とし慎重しんちょうに歩みを進める。

 すると壁から腕が生えてきた手にはスタンガンを持っている。

 香奈は素早くかわすと腕を狙って力を放つが、腕はすでに消え、何者かが走り去る足音が聞こえる。

 だが、姿は見えない。


 翌朝、香奈は沙夜さやに挨拶に行った時、昨夜のことを話す

   壁からスタンガンを持った手が出てきたこと

   何者かが走り去る足音がするのに姿は見えないこと

である、沙夜は沙姫さきに連絡し、放課後、自転車置場で話し合うことにする。

 3人で話し合い、沙姫は青木あおき刑事に電話する

   「学校での噂なんですが、壁から手が出てきたり、足音はするのに姿は見えな

    い、と言うような通報はありませんでしたか。」

青木は

   「まるで幽霊話だな、そんな話は聞いてないよ。」

と答える、沙姫は礼を言って電話を切る。

 青木には引っかかる通報があった、全裸の女性が倒れていると通報で警察官が向かったが何もなかったものである。

 青木たちは、付近の林などを捜索すると女性物の衣類、バックなどを発見する。

 それらのものは捜索願の出ている女性の物であった。

 青木は、沙姫に電話する

   「先月、5件女性の行方不明者が出ている、例の手の件が関係しているかもし

    れない、いいか夜、出歩くんじゃないぞ。」

   「分かりました、気を付けます、用件はそれだけですか?」

   「そいつを追うことはできるか。」

   「姿を見えなくしているだけなら追うことはできます。」

   「なら、いざと言うときは協力してくれ。」

   「はい、デート一回で引き受けます。」

と言って沙姫は電話を切る。


 沙夜の部屋に沙姫が入って来る

   「青木刑事から電話があったわ、女性が5人行方不明になっているんですっ

    て、沙夜。」

   「それがどうかしたの、沙姫。」

   「例の手の件と関係ありそうよ、沙夜。」

   「じゃあ狩りの始まりね。」

   「今回は居場所を突き止めるだけよ。」

   「どうして。」

   「青木刑事に恩を売ってデートするの。」

   「趣味が悪いわ、沙姫。」

沙姫と沙夜は作戦をたてる、香奈には夜、出歩かないように指示する予定だ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る