第14話 プール

 市民プールは朝宮あさみや町の海岸近くにあり、プールの水は海水である。

 屋内温水プールなので年中開いているが、人気があるのは、やはり夏である。

 プールは流れるプールとウォータースライダー、ジャグジーと揃っており

水着のまま入れるレストランがある。


 今日は市民プールに直接10時に集合である。

 竜弥たつやがプールに着くと沙姫さき沙夜さやが、さっそく5人組の青年にナンパされていた。

 竜弥は、沙姫と沙夜に近づいて行く、沙姫が竜弥に気づくと竜弥に抱き着き

   「遅い、待ったのよ」

と言う、竜弥は赤くなり、沙夜はむくれる、青年たちは

   「ちぇっ」

と言って立ち去る、竜弥は

   「まだ10時前ですよね。」

   「方便ほうべんよ。」

沙姫は言う、沙夜は

   「早く離れて、沙姫。」

怒る。

 香奈かなは市民プールについて早々、さっきの5人組にナンパされる。

 香奈はおびえて後ずさりする、どんどん沙姫、沙夜と竜弥がいるところまで、竜弥が

   「米霧よねぎりさん、どうしたの?」

香奈は答える代わりに竜弥にビンタする。

 5人組は竜弥をにらみつけると

   「また、お前かよ。」

と言って立ち去る。

 沙姫と沙夜が冷たい目で見ていたのを5人組は気づいていない。

 4人は更衣室へ行き水着に着替える、竜弥は紺地にヤシの柄のパンツである。

 待っていると沙姫が最初に出てきたパレオ付きのビキニで人目を引いた。

 次に沙夜と香奈が出てきた、沙姫は青地に花柄のワンピースで香奈はピンクに白い花柄のワンピースである。

 竜弥は

   「みんな似合ってるよ。」

める。

 最初に流れるプールへ行くが、沙姫と沙夜は流水に逆らって泳ぎ始めるスピードも速い

明らかに水をコントロールして泳いでいる。

 竜弥は二人に注意する

   「目立つことはやめてください。」

   「香奈は?」

沙夜が言うどうも流されていったようだ、しばらく待つと流れてくる。

 沙夜が竜弥に

   「手をつなごう。」

と言って竜弥の手を引っ張る、あっという間に加速し、流れるプールを一周する

   「どうだった。」

   「息継ぎできなかった。」

すごい体験だが、溺れそうである。

 沙姫と香奈、沙夜と竜弥に分かれてプールを楽しむ、そして昼過ぎレストランに入る

沙姫の指示で沙夜と竜弥はパフェを注文する。

 沙姫は言う

   「ほら、あ~んの練習よ。」

沙姫と竜弥は赤くなりながら実行する。

 香奈は

   「いかがわしい。」

と竜弥を責める。

 レストランの中で二人は注目を集めていた、その中には5人組の青年がいた。

 その後、2時間程遊んで帰ることにする。

 竜弥が着替え終わると5人組の青年に囲まれる

   「ねえ君、もてるね。」

   「一人で3人の相手大変でしょ。」

   「俺たちにも分けてくれない。」

竜弥は落ち着き払って

   「ここじゃ、騒ぎになるから人のいないところに集まりましょうか。」

   「お、おぅ、分かっているじゃないか。」

その時、沙姫と沙夜は空気中の水分を使って男子更衣室を探知している

   「竜弥が絡まれているわ、沙夜。」

   「あの5人組ね、沙姫。」

   「どうしたんですか。」

香奈が尋ねる、そして、竜弥が絡まれていることを知る。

 3人は男子更衣室に突入する、裸の男性客が悲鳴を上げそうになる。

 香奈が5人のズボンのベルトを切る。

 そして、沙姫と沙夜が先制攻撃しようとしたところ、突然

   「そこまでだ。」

と声がかかる。

 青木刑事だった、海パン姿である。

 5人組は青木に気づき

   「青木さんどうも。」

   「お前ら、命拾いしたな、そいつら相当強いぞ、さあ、帰った。」

5人組は早々に立ち去る。

 沙姫が聞く

   「青木さんどうしてここへ」

   「お前が楽しそうに時間と場所を伝えてきただろ、水着姿でもおがもうとおもっ

    てな、もちろん有休だぞ。」

   「で、私の水着姿どうでしたか、れましたか?」

   「10年たったらもう一度聞いてくれ。」

沙姫はしょぼくれる。

 竜弥は青木に礼を言う。

 やはり、トラブルとは無縁でなかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る