第13話 ショッピング

 ハングマンを倒してからは平穏へいおんな日々に戻った。

 香奈かなは毎朝沙夜さや挨拶あいさつに来る。

 竜弥たつやは香奈はまだ少女好きの男を殺しているのだろうかと考える。

 夏休み前だが、もう予定が一つ決まった。

 それも夏休みが始まってすぐの予定である。

 急遽きゅうきょ、日曜日の午後、水着を買いに行くことになった。

 舟戸ふなど姉妹の父舟戸竜一りゅういちの運転する車で浜田はまだ町のショッピングモールへ向かう、後部座席には沙姫と沙夜が乗り、助手席は竜弥である。

 竜一は、りず竜弥をたきつける

   「とにかくめるんだ。」

   「褒める相手を間違えるなよ。」

   「沙姫ではなく沙夜をほめるんだぞ。」

   「確かに胸の・・・」

   「お父様!」

沙姫と沙夜がハモって怒る

   「すまん、すまん。」

竜一は二人に謝る、あまり反省してないようだ。

 3人は水着売り場へ行く、女性用水着売り場は、竜弥の他、男性客が居なくて居づらい

 竜弥も外で待っていようとしたが沙姫と沙夜に引っ張り込まれたのである。

 沙姫が選んだ水着はビキニにパレオが着いたもので白地に花柄である

   「どお?」

似合ってます、きれいですよ。

 竜弥はさすがスタイルいいなと思いながら褒める。

 沙夜は、青地に花柄のワンピースである

   「似合っている?」

   「うん、いいよ、かわいい。」

竜弥は沙姫に比べてスレンダーな沙夜を見て竜一が胸のことで言おうとしていたことが分かった

   「竜弥、いやらしい、胸ばかり見ている。」

   「見てない、見ていない、水着姿見ただけ。」

必死に弁解するが沙夜の目が怖い、沙姫が耳打ちする

   「あの子、胸の大きさ、コンプレックスなの。」

竜弥はんではいけないものを踏んだようである。


 沙姫が言う

   「竜弥君は水着買わないの。」

いえ、去年のありますから

   「何言っているの、私たちが選んであげる。」

強引に男性用水着売り場に連行される。

 そして、紺地にヤシの柄のパンツを選んだ。

 時間が余ったので、ウインドウショッピングをする。

 沙夜の機嫌きげんはまだ戻っていない、沙姫が竜弥の腕をひじでつつく、竜弥はうながされ、沙夜に言う

   「手をつながないか。」

   「うん。」

少し沙夜の機嫌が直ったように感じる。

 沙姫は、これはお父様がなげくわけねと思う。

 フードコートへ行くと沙姫の命令で全員パフェを注文することになる。

 席に着くと沙姫が言う

   「竜弥君のパフェおいしそうね。」

   「替えましょうか。」

   「一口でいいの、あ~ん。」

竜弥は赤くなる、そしてスプーンですくい沙姫の口に入れる

   「うん美味しい、じぁお返し。」

沙姫はパフェをスプーンですくうと竜弥に差し出す、竜弥は仕方なくくちにする

   「美味しい?」

   「は、はい。」

竜弥は、こんなところ学校の男子に見つかったら殺されかねないと思う

しかし竜弥は忘れている、目の前の少女のことを・・・

気が付いた時には、むくれて竜弥をにら

   「あら、どうしたの、沙夜。」

   「わざとね、沙姫。」

   「どうして竜弥君としないの、沙夜。」

沙夜は、顔を赤くしてパフェをスプーンですくうと無言で竜弥に突き出す。

 竜弥は、スプーンのパフェを食べると自分のパフェをすくって沙夜に差し出す。

 沙夜はますます赤くなりながらパフェを口にする。

 沙夜は肩で息をしている、大変な作業だったようだ。

 竜弥は思う僕がリードしないといけないよな、でも少しずつハードルを上げていかないと沙夜が持たないなと思う。

 間もなく竜一が迎えに来る時間だ、帰りの車の中、竜一は聞く

   「どうだった。」

   「二人とも、きれいでかわいかったです。」

   「違うよ、沙夜とどうだった。」

沙姫が口をはさむ

   「パフェをあ~んてしてましたわ。」

   「うん、一歩前進だね」

竜弥と沙夜は赤くなる。

 竜弥は何か忘れている気がする、そして気が付く、今日はからまれていない。

 竜弥はトラブル慣れしていた。






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