第12話 気持ち悪い敵

 翌日朝、香奈かなのスマホにハングマンから連絡が入る

   朝宮駅あさみやえきに着いたよ、君の家に行くからね

香奈は沙夜さやにスマホの画面を見せる

 沙夜は

   「今夜、勝負ね。」

と言った。

 昼頃、古馬家に異様な男が来る、母千鶴子ちづこが応対する

   「お宅に娘さんいる。」

   「家には息子しかいません。」

と答えると、男は

   「匂いがしたのになぁ。」

と独り言を言って立ち去った。

 彼女は沙夜がストーカーに狙われているのではと心配し竜弥たつやに連絡を入れる。

 竜弥は、沙夜に

   「ハングマン、家に来たらしい。」

と言う

   「動きが早い、本当に匂いを追っている」。

顔をしかめる。

 放課後、青木あおき刑事から沙姫さきに連絡があり、模様の形は分からないが、背中に3つ刺青いれずみがあることが分かった。

 逢儀京司おうぎきょうじの刺青なら3つ力を持っていることになる。

 香奈からハングマンへ

   北条公園ほうじょうこうえんに今夜10時に待つ

と連絡を入れるとハングマンから

   やっと、会ってくれる気になってくれたね、楽しみにしているよ。

返事があった。

 北条公園は東海北高校の北方にあり、林に囲まれ周囲に民家はない。

 今回、竜弥は不参加である。

 沙姫、沙夜と香奈は帰る途中、ホームセンターに立ち寄り、ラッシングベルト(トラックなどの荷物を固定するために使う)の800kgに耐えるものを買う。

 そして、香奈は、今日は友達の家に泊まると叔母に連絡を入れ、舟戸ふなど家へ行く。


 夜10時、香奈が北条公園内に立つ、沙姫と沙夜は林の中に隠れている。

 ハングマンの姿はまだ見えない、すると公園の池が波立つ、彼は池の中から出てきた

   「僕、暑かったから水に入っていたんだな。」

香奈は言葉を失う。

 するとハングマンは、クンクン鼻をかぐ

   「君の他に、二人女の子いるよ。」

ハングマンは林に隠れている沙姫と沙夜の匂いを嗅ぎつける。

 沙姫と沙夜が出てきて香奈と並ぶ

   「君たちもかわいいなぁ、遊ぼうよ。」

   「あんたみたいな変態ごめんだわ。」

沙姫が言う、沙夜は池から水の矢を高く打ち出し、殺気を殺してハングマンの頭上へと落とす。

 ハングマンに矢が当たったが深く刺さらない、体の表面を傷つけただけであった。

   「いたた・・・ひどいな、痛いじゃないか。」

   「そういう遊び。」

沙夜が言う、香奈が足の腱を狙って力を放つ、沙姫は池の水を使って豆粒ほどの水の球を作り、ハングマンにぶつけ足止めを試みる

   「痛いよ、痛いの嫌だよ。」

ハングマンは3人に近づけず、動き回る、沙夜がハングマンに付着した水分をコントロールして動きを止めようとしているので素早く動けずにいる。

 しかし、ハングマンの力は強く、動きを止められない。

 沙姫は人の頭ほどの水の球を作り、ハングマンの顔を覆う、彼は苦しみだし、香奈がそのすきに両足のけんを切断する。

 ついに彼は倒れる、しばらくして意識を失う。

 3人はラッシングベルトで両腕を上半身に縛り付ける。

   「気持ち悪い、本当に人間。」

沙姫が言うと沙夜も

   「こういうのは願い下げ。」

香奈は

   「これに追いかけられたんですよ。」

と身震いする。

 沙姫がスマホで青木刑事に北条公園にハングマンが倒れていることを知らせる。

 沙姫と沙夜はハングマンの刺青が逢儀京司のものか確認したかったが、彼が気持ち悪く触れなかった。





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