新たなる日常④
(…ヤバい。)…さぁ、いくよ?」
直後伝わって来る食感に理性が飛びそうになるのをなんとかこらえ、彼女を惜しみながらそっと離し人差し指でぷるんとした唇をなぞった。
「…っ。…は、はい……」
再び彼女はぷるぷると震えながら、おずおずと舌を出した。
「…二人共、ちょっと『協力』してくれ」
「「畏まりました」」
二人は直ぐさま床に跪いて彼女の左右に待機した。それと同時に、俺は彼女の顔を両手でそっと挟みゆっくりとこちらに引いていく。
「…いただきますー」
「ー…っ!?……~~~~っ!?」
その舌を口の中に入れた途端彼女は大きくはね上がりそうになるが、俺と二人ががっちりと押さえたのでそのままの姿勢でびくんびくんと小刻みに震えた。…そして昨日の再現…ゆっくりとそして時折唇で刺激を与えつつ舌を出していく。
「…っ!……っ!…っ!……っ!」
二つの快感を同時に体験する彼女は、不規則に震えた。
「ー…ちゅる。……は~~~」
最後に昨日よりも淫らな水音を出しながら、彼女の舌は口から出切った。…直後、彼女は先ほ程から漏れ出ていた甘美な吐息を一気に解き放った。…おわ、堪らないなぁ~。
それを顔面で堪能した俺の心は、幸福感で満たされていくのだった。
「…はあ、はあ、はあ……」
「…どうだった?」
呼吸を整える彼女に、感想を聞いてみた。すると彼女はー。
「…素晴らしい体験でしたぁ~。深い感謝を申し上げますぅ~」
ー…と、緩み切った笑みと蕩けた瞳で満点の反応を返した。
「…それはなにより。…さ、次は快活な彼女の番だ」
「はぁ~い。…ほらぁ~、どうぞぉ~」
彼女はその表情のまま俺から離れ、ミラの背中をそっと押した。
「…は、はい……」
彼女はやや緊張した様子で俺の前に進み出た。…その頬は、先程目の前で繰り広げられていた光景のせいか紅潮していた。
「…さて、君はどんな『ご褒美』を望むのかな?」
「…えっと、その……。…マスターダイスケ、『ご褒美』を分割して頂く事は可能でしょうか?」
何を望むのかと思ったら、彼女は不安そうに聞いて来た。
「…別に構わないけど、理由を聞いても良いかな?」
「…っ、はい。…正直なところ、私もイオリと同じ『素晴らしい体験』を希望したいのですが、イオリの反応を見て『生まれ変わってから体験したい』と強く思うようになりました。
…それが、『ご褒美』を今日と『生まれ変わった日』の二回に分割して頂きたい理由です」
…なんて、素晴らしい理由だろうか。
その答えに、俺は感動を覚えた。
「…分かった。それで、今日の分は何を望む?」
すると彼女は、ふとミヒトに一度顔を向ける。
「…いろいろ考えましたが、今日は『マスターが望む事』を私に手伝わせていたませんか?」
「!?」
再びこちらを見た彼女は、純真な表情で俺の心を激しく動揺させる『ご褒美』を望んだ。…何なんだ、このコ達は?どうして、こうもクリティカルな神対応を連続して繰り出せるんだ…?
「…素晴らしい。…これは、先程の評価を改めなければいけないな」
「…いやはや、私も見習わなければいけませんね」
歓喜で奮えていると、後ろでは意図を察したミヒトと椅子に座りテンションを戻したイオリが、揃って彼女を称賛した。
「…あ、ありがとうございます」
「…ああ、本当に素晴らしいよ。
じゃあ、早速手伝って貰おう。……ー」
心からの称賛を送った俺は、ミヒトに目線を送る。すると、彼女は笑顔で頷き横に立った。
「だがまずは、『相応しい格好』にしなきゃな」
「畏まりました。…確認ですが、彼女が『下』で私が『上』ですね?」
ミヒトは、最適解の確認をしてきた。
「流石だな。…君の胸を拝むのは、密かな夢だったからな」
俺はニヤケながら、躊躇いなく長年の悲願を口にした。
「身に余る光栄です。…じゃあ、始めよう」
「はい…」
ミヒトは深いお辞儀をして、ミラに声を掛けそのやや斜め後前に片膝を立てて屈んだー。
◯
ーその後、ステキなランチタイムは非常に惜しまれながらお開きとなり俺は後ろ髪を引かれながら部署に戻った。
そして今、非常にモヤモヤしながら午後の業務に勤しんでいた。……っ、………。
「ーあ、休憩の時間です」
…っ!
そんな時、係長さんが合図を出した。その瞬間、俺のモヤモヤは僅かに晴れる。…何せ、この後から『変革』が始まるのだから。
「…さて、二人ともどうだ?」
まず、『ノワン(オート=NPCリモーター:イニシャル』と『ヌューダ』に課題の進捗状況を聞く…フリをしてアイコンタクトを送った。
「「…こんな感じです」」
二人は揃って、『少し不安そうに』パソコンのモニターを見せた。…しかし、その表情とは裏腹に今日の分の課題はほぼ終わっていた。
「(…『セーブ』してこれか。本当、ハンパないわー。)ほう、良い感じじゃないか。
じゃあ、休憩に行こう」
内心そのスペックの高さに驚嘆しつつ、しかしそれを笑顔の仮面で隠し『合図』を出した。
「「はい」」
二人はパソコンをスリーブにして席から立ち上がる。そして、俺が歩き出すと後ろに続いた。…ああ、いよいよだー。
俺は期待に胸を膨らませながら、休憩所に向かいそのドアを開けた。…すると、昼前に呼び出しておいた山口がこちらに気付いた。…うん、『行けるな』。
俺はそこに向かいつつ、ランチタイムの終わり際にミヒトから聞いた『説明』を元に休憩スペースの『状況』を確認する。…その瞬間、俺は思わず僅かにニヤケてしまう。
「…っ。おいおい、一体何をさせる気だ?」
それを見た山口は、苦笑いを浮かべた。
「…なに、そんなに難しい事じゃないよ。ましてや、大変な事でもない」
「…なら、良いんだけどよ。
…で、俺は一体何をすればー」
そこまで言い掛けた山口は、不意に口を閉じた。…俺の背後をステルスで浮遊する『ドローン』の不可視の催眠光線を受けたからだ。
『……ー』
それと同時に、ついさっきまで雑談していた新人含めた12人も『N』の二人によって催眠状態に陥った。…いやー、相変わらず凄い威力だ。
「…では、私は『人避け』並びに『防音』を展開します」
感心していると、『ノワン』が俺に声を掛け休憩所から出た。…さて、素早く済ませよう。
俺はまず、ツールの『ドローンアプリ』を起動し、特定のコマンドを入力した。すると、俺専用のドローンはステルスを解除しテーブルの受けた着陸した。…いやはや、改めて見るが飛行ユニットも無いのによく飛べるよな。確か、『反重力』だったかな?
ドローンをまじまじと見た後、『ヌューダ』に視線を送る。すると、彼は頷いた。
『ー初めまして、マスターダイスケ』
直後、その場にいた12人の同僚達は一斉に頭を下げた。
「(…はあ、良い気分だ。)ああ、初めまして。…さて、早速で悪いが君達の持っている仕事用とのスマートフォンを俺と『ヌューダ』に渡してくれ」
『畏まりました』
俺は未体験の優越感に浸りつつ、『N』と『M』に指示出す。すると、彼等は喜んでスマートフォンを俺と『ヌューダ』の前に差し出した。…さてー。
更に気分を良くしつつ、俺はドローンの上部にツールをかざした。すると、ドローンの真上にど小さな半透明の立方体が出現した。…えっと、ここに入れるんだったな。
そして、その立方体にスマートフォンを一つ近付けた。…直後、スマートフォンは瞬時に俺の手から消えた。
「おおー、マジで消えた。…確か、某県の『理化学研究所』に転送されてるんだよな?」
「はい。…あ、私は『エ』所属の者です」
驚きつつ、近くに居た『M』に問い掛ける。すると彼女は頷き所属を告げた。…えっと、このコとあっちのコだけかー。
とりあえず、ツールで二人の情報を確認する。
「(ーなるほど。…あ、良い事思い付いた)。…あ、ミフィとミッジュは俺を。『O:Y.U.』の方は、同期二名でサポートしてくる」
『はい』
せっかくなので、俺は『シンジン』達に手伝いの指示を出した。…すると、タイプの違う『M』の二人は「「失礼します」」と断りを入れてから俺の左右に座った。…はあ、たまらないなー。
左右からほのかに漂う良い香りを堪能しながら、俺は彼女達と共にスマートフォンを転送していった。
ーそれから程なくして、スマートフォンは再び俺達の前に戻って来ていた。…勿論、向こうで『改造』された状態で。
「(…流石宇宙人の技術が付与された『チートファクトリー』に変貌しただけあって、超早いな。)さて、それじゃ自分のを取ってくれ」
『はい』
彼等は速やかにスマートフォンを回収していった。
「…では、本題に入ろう。
今から、部署内部で地位を持つ『攻略不可能及び攻略対象外』に、『簡易ツール』となった『それ』で『催眠音波』を掛けその後、『オールスルー』を設定して貰いたい。
そして、一度最初を解除し『チョーカー』を自ら装着するように誘導してくれ。…尚、『シンジン』達は同期のみとする」
『はい』
その指示に、彼等は一切迷いのない表情で頷き休憩スペースを出ていった。
ー…さて、何でこんな指示を出すのかと言うと、『人員確保』のスピードを上げる為だ。
まあ、最初は俺もこのドローンさえあれば何でも出来ると思っていたが、実はこのドローンには『ステルス+催眠』に特化しているせいで非常に厳しいいくつかの制約があるのだ。…その最たる例が『一度に催眠を掛けられるのは近くにいる五人』という制約だ。
だから、さっきは三人掛かりで制圧した訳だ。
だが、不特定多数の人間がいる状況ではその手を使うのはなかなか難しい。…そこで俺は催眠を『分割』する事にした。
まず、『簡易ツール』で先程指定した人物に『簡易版』故の低出力の催眠音波(低周波)を聞かせ一旦『普通の催眠状態』にする。そして、専用ツールで『オールスルー』の指示だけ出して催眠を解除。
そして、その後『チョーカー』を受け取らせ本人に装着させるのだ。…この方法なら、『自然』にそして『いつの間にか』増えていくだろう。…しかし、なんでこんな『普通』の事に彼女達はあんなに驚いたのだろうか?やっぱり、文化が違うからかな?
そんな事を考えながら、俺はのんびりと彼等が『増える』の待ったー。
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