第21話 まどろみの中
「あ、あの…… 」
下着の中に手がはいっきた。
お尻に直接、手が触れる。
「ここは厚い肉の奥に関節があるのです…… 輿入れ前に、一度、良く揉みほぐさないと…… 」
いや、それだとしても、やり過ぎだ。
寝巻きは既に足元に追いやられ、下着も少しずつずらされていく。
「ふあっ! 」
胸の先に電気が走った。
彼女の指がとうとうそこまで達して来た。
「時に、カトリーヌ様、婚前交渉など、なされてはおりますまいな? 」
ちょっと語気が強めだ。
返事次第では説教でもされそうな。
「いえ、殿方とは一度も…… 」
「殿方は、時に野獣が化けたかのように荒々しく奪い穢そうとするものです…… 時と場所は良く見定めませんと、思わぬ事故を呼ぶことも御座います…… 」
言っている事とやっている事が、チグハグ過ぎるのですが。
今起こっている事故の当事者はあなたでしょう。
「人生の先輩として申し上げます…… 女神アリスト様もお許しになっていますように、苦も楽も同性で分かち合う術も知るべきです、さすれば、人生はより豊かになりましょう…… 」
何を言い出したのかと振り返り顔を見ていたら、その顔が近づいてきた。
敢え無く、唇を塞がれる。
軽くて甘い口づけ。
驚いて視線を外す。
じっと、こちらを見据える彼女と、見つめ合ったら、それこそどうなってしまうか、分からない。
今度は大人のキスが来た。
拒否しなかったと、受け取られたかもしれない。
「………!!!」
舌が入ってきた。
もうダメ、力が入らない。
そこからはは、マッサージなのか何なのか分からない。
彼女に女性とのイロハを教えられる。
快感を体に刻みつけられた。
実際には、魔女の一味のヒュリカと、何度か似たような事になっていた。
彼女は、男は少年まで、メインは女性と言う性癖の持ち主だったから。
けれど、ロメールのように、快感の果てまで追い詰められた事はなかった。
はじめて、きっちり完璧に女の快感を味あわされた。
なんて日だ!と嘆いてもはじまらない。
だって、覚えちゃったんだもん。
肉体っていいな。女の子っていいな。
私はフワフワとしたまどろみの中で、そう思った。
女の子好き……
「私もだ…… 姫は可愛い…… 」
心の声がだいぶ漏れていたような。
私はロメールお姉さまの胸に抱かれて朝を迎えた。
「わわわっ! 」
目覚めて焦った。
形の良い見慣れない双丘が目の前にあったから。
「おはよう御座います…… お目覚めですか? 」
ヴェラディの声がした。
「ん…… んん…… 今夜も姫様はご無事でいらっしゃる…… 」
ガシッと、抱きしめられる。
2つの弾力が顔に押しつけられた。
苦しい、息ができない。
「では、お返ししましょう…… 」
拘束が解かれ、私はヴェラディにボイと、投げられた。
がっちりそれを受け取るメイド。
私、何も身に着けてない状態なのですけど。
物のように扱われてる。
「はい、足上げて…… 」
パンツを拡げて、掲げるヴェラディ。
私は腕で胸を隠しながら穿かせて貰った。
自分で出来ると断ったら、パンツを取り上げられてしまった。
言う事を聞けと言いたいらしい。
ヴェラディは言葉ではなくて態度で示してくる。
なので、私が本物の姫様でないと分かっているのが、伝わってくる。
決して言葉には出さないけれど。
「あの、白薔薇騎士団の人……」
「ロメール・シニョン様でしょうか? 」
「あの人って…… 」
「はい、白薔薇騎士団はそのような嗜みが規律を保つ一助になっているとか…… 女神様に仕える騎士たるもの、身の穢れなどあってはならないと聞いてます…… 」
「……そう 」
良く見えなかったけど、女の人ばかりの騎士団なのだろうか。
女の園とは、知らなかった。
それなら、私のような小娘の相手など朝飯前なのだろう。
立ち打ち出来る相手ではなかった。
「ひょっとして、癖になっちゃいました? 」
「え、 そ、そんな…… 」
「私もイケますので、遠慮なくお申し付け下さい 」
まじまじとヴェラディの顔を見る。
ニッコリ微笑むメイド。
私、狼の群れの中に放り込まれた子羊状態かも?
翌日には、首都を出ますと、使いの者が告げに来た。
今日の予定は何もない。
出発前に英気を養えと言われている気がした。
折角の休みなのに、部屋でぐーたら出来る筈もなく、第三位のシスター、エレノーラ・ブレイアさんが、挨拶に訪ねてきた。
「ル・アドゥフーリカ皇国より正式な魔女退治の要請、ありがたく拝命致しました。
私が責任を持って貴国より魔女の被害を失くしてご覧に入れます…… 」
「ありがとうございます 」
「つつがなく婚礼が成就なさりますよう微力ながらお力添えさせていただきます。
つきましては…… 」
「はい? 」
彼女にしては珍しく口籠る。
「聖地ラライセィカの池のことなのですが……」
「ああ、レゲスタの町のですね? 協定通り保全はされていると思いますが…… 」
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