プロローグー騎士とアルビオン国

 この世界には、輝かしき『騎士』と呼ばれる者達が存在する。それは、人という種の中でも、抜きんでた身体能力を誇る人々であった。彼らの存在は才能ある者の中で真の努力を尽くす者たちだけが得られるものである。


 人々は世界中で騎士に憧れ、その姿を夢見る。子供たちも大人たちも、誰もが彼らの存在に憧れを抱いていた。


 【騎士】それは、誇り高き戦士である。騎士道を厳守し、王や国に仕え、民の盾として立ち上がる。戦いになれば、彼らはいつでも民の前に立って戦いを勝ち抜く守護者たちである。


 謙虚であること。誠実であること。礼儀正しくあり、裏切りはせず、欺かない。弱者たちの味方であると同時に、強者として胸を張ること。自分自身の品位を高め、堂々と振る舞い、民を守る盾となり、主の敵を討つ剣となること。それが騎士であり、誇りである。


 しかし、歴史を振り返れば、騎士たちは高潔で偉大な存在ではなかった。彼らは誠実で公正で勇気があり、強く、慈愛に満ち、寛容で礼儀正しかったが、それは騎士たち全員に当てはまるわけではなかった。


 本来の騎士たちの姿は、守る者ではなかった。彼らは優しく、与える者ではなかった。それどころか、彼らは時には暴力を振るい、略奪行為を働くことさえあった。彼らは自己中心的な人々でもあったのだ。


 戦場での彼らは、略奪、破壊、虐殺をした。騎馬にまたがった戦士はどんな獲物も逃がさない。


 その身は敵の返り血によって赤く染まり、敵は全てその剣で切り捨て、奪えるものはなんでも奪う傭兵が始まりであった。

 

 しかし、ある時。邪悪な神が天界から追放され、人々が暮らす地球上に現れた。


 邪神は魔物を生み出し、人々を混乱させ、混沌の時代をもたらした。多くの人間が死に、邪神とその眷属の魔物達の前に誰もが無力だった。


 そんな時、神とその僕たる天使が地上に現れ、邪悪な神々、邪神たちを倒すために人々に神託を下したと伝えられている。


 人々は、邪神が地上に混沌をまき散らし、人間を圧倒する存在であることを恐れ、嫌悪した。しかし、人間たちは邪神に単独で立ち向かうことはできなかった。


 そのため、神々は人々に邪神を倒す力を授け、人々もまた神からの加護を受け入れた。


 そして、人々は邪神に対して立ち上がり、騎士たちを中心に反撃を開始した。


 騎士たちは、多くの戦闘経験を持ち、神の恩寵を受けた力を手に入れていたため、邪神との戦いにおいて勇敢に立ち向かっていった。


 神の恩寵をうけた人々の力は邪神達をもってしても想像を絶する力を手に入れたのだ。


 各地で騎士たちが邪神や魔物を討伐していく中で、彼らは英雄的な活躍を見せ、人々の尊敬と希望の象徴となった。そして、騎士たちは神を信仰する教会の戦士となり、教会の支援を受けて邪神との戦いを続けた。

 

 騎士たちの活躍によって、次第に邪神や魔物たちの支配が弱まっていった。そして、騎士たちが英雄となる中で、現代の騎士道精神が生まれ、後世に伝えられることになった。


 時は過ぎ、歴史の中で騎士は誇り高き戦士、邪神に挑む勇敢な戦士、通常の人間よりも能力が高く、神より力を授かりし者として讃えられていた。

 

 しかし、邪神を倒すために多くの神を討ち取ったという歴史が残されている一方、騎士たちは無傷で戦えるわけではなく、多くの犠牲を払った。


 邪神が生み出す魔物たちと比べ、人々は圧倒的に数でも力でも劣っていた。精鋭の騎士を失うわけにはいかない。しかし、野良の騎士たちばかりでは不足してしまう。


 初めての卒業生を無事に送り出した後は、毎年一定数の騎士を輩出することができるようになった。防衛にとどまらず、攻撃や進撃へと騎士たちの活躍が期待され、人類の栄光が待ち受けているのである。


この騎士学校での養成は、単なる戦闘技術の習得だけではなかった。騎士道精神や誇り高き精神を教え込まれた騎士たちは、尊敬される存在となり、人々からはまさに神の使徒のように崇められた。


騎士達は邪神を倒すために戦い続け、その戦いの中で多くの英雄が現れた。彼らが後世に残した騎士道の精神は、今でも多くの人々に愛され、尊敬されているのである。


 長い時間が経ち、邪神たちは倒され、騎士たちも功を挙げた。しかし、世界にはまだ邪神の影響が残り、魔物たちが跋扈していた。それでも、人々は進歩し続けた。小さな一歩を踏み出し、毎日を生きることで、彼らは成長を続けてきた。小さき成長の神である。


 邪神との戦いが終わりから五百年。人々はますます成長し、騎士の称号は「騎士学校を卒業し、国に仕える者。一般人よりも能力がはるかに高い人間」となっていた。騎士たちは、邪神を倒すための力であったが邪神が消えてもなお、彼らの使命はまだ終わっていなかった。


 騎士たちは、新たな魔物たちに立ち向かい、人々を守るために戦い続けた。そして、彼らの努力が実り、魔物たちは少しずつ減っていった。それでも、騎士たちは諦めずに戦い続け、人々を守り続けた。


「騎士たちよ。あなたたちの力は、私たちの希望です。」


人々は騎士たちに感謝し、彼らの力を頼りに、明るい未来を目指して歩き続けた。




 世界中に騎士学校ができた中でも、その名を知らぬ者はいない。アルビオン聖騎士学校という名門である。その学校からは、多くの著名な騎士たちが輩出されてきた。


空に浮かぶ白き城。その美しさは、まさに天空の楽園のようだった。この島には、大きな城が建っており、それこそがアルビオン聖騎士学校であり、アルビオン国の王城でもあった。


 騎士を目指す者たちは、ここに集い、伝説の始まりとなる騎士たちの聖域であった。空に浮かぶ白き城は、子供たちの夢の舞台であり、憧れの的だった。彼らは、この城に行き、そして騎士になることを夢見たのである。


 学校の中では、厳しい訓練が行われ、生徒たちは鍛え上げられていく。そして、成し遂げたことは、名誉と栄光となって返ってくる。彼らは、自分たちが戦うべきものを知り、勇気を持って立ち向かっていった。


 ここには、多くの英雄たちが育ってきた。彼らの名は、世界に響き渡るものとなった。その名は、今もなお、多くの人々に語り継がれている。アルビオン聖騎士学校は、多くの人々にとって、永遠に輝き続ける聖域となっていた。



  ~出典:アドーニ・ウェルロウス「騎士とアルビオン国」~



**************

アルビオン国

誰もが憧れる理想郷。空に浮かぶ白き城を擁し、騎士道を体現する王家とその騎士達が国を治めていた。その美しさは、どんな言葉でも表現しきれない程。


騎士達は、穢すことのできない気高さを持ち合わせ、その心は常に誓いと絆で満たされていた。彼らは、弱き者を守るために命を懸け、常に正義を貫くことを信条とする。


彼らは、天空都市であるアルビオンを見上げ、その美しさに魅了されながら、騎士達のような気高さを身につけることを夢見るのだ。


その国の名は、「アルビオン」と呼ばれ、一人の騎士とその友の誓いと絆を示す名。彼女らの魂が国に息づき、その美しさを今なお保ち続けている。

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