第16話
「紆余曲折を経て、本日めでたく距離が近くなったってことね」
林ユーコが、目の前を仲良さげに歩く凸凹カップルを指差してみせた。
そしてぼそりと蚊のなくような声で言うことには。
「いいなぁ。幼馴染カップル...」
「へ?なんて言ったの?」
「なんでもないっ。ところで、3日前の総合テストの結果、合計点何点だった?勿論、420点、超えたよね?」
「あー、それね、374点...」
「ちょっと待って!見せてよ、答案用紙...!
取り敢えず、今、持ってるやつだけでいいからさっ」
林ユーコときたら。
随分と慌てた様子だった。
俺は鞄の中から、数学と国語、それから
英語の答案用紙を引っ張り出してみせた。
あんまりいい点とは言えない三教科...。
7割しか取れてない...
「は?400点切ったわけ!?そんなんじゃ、
県下トップの高校受からないじゃん!!」
「私ね、シンジくんとはずっとずっと一緒が
いいのっ!幼稚園も小学校も中学も一緒だったんだから、高校だって...!」
「そーだ!私が家庭教師やってあげてもいいけどっ!
一問正解ごとに、薄着になってあげても
いいけどっ」
「え、ちょ、ま、まさか、俺のことす、好きとか?」
「んもー鈍感!!ラブレターの返事!シンジくんからだとこっちはてっきり思ったからさ、一緒に帰ってあげてもいいけどって、朝、言ったじゃん!てか、今、
現に一緒に帰ってあげてるじゃん!」
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