自殺うさぎはect
いっぱいやってきた騎士達は私に切り掛かってきた。
私は殺したくなる身体を抑えてじっとしていた。
だけど全く痛くない、編み棒で突っつかれるのとあんまり変わらない。
この程度かよ人間の騎士、ってボソッと言ったら騎士達は蜘蛛の仔のように散っていってしまった、これからどうしよう。
「そうだ、処刑場にいってみよう」
確か『ぎろちん』とかいうすごい処刑器具があるという噂があるので、それなら死ねるのでは、と思った。
しゅたたたたと処刑場にいってみたらちょうど処刑の最中だった。
処刑されようとしている罪人を殺さないように丁寧に退かして、自分の首をギロチンにセット。
縄を切れば刃が落ちてきて首がすっ飛ぶ、らしいので腕を伸ばしてブチッとちぎってみた。
刃が落ちてきた、それだけだった。
なんだか周囲が騒がしいのであたりを見渡してみた。
処刑人の人がキャーキャー叫んでいる。
処刑を見にきていた人が大絶叫で大合唱しているし、さっきどかした罪人なんか泡を拭いてぶっ倒れてた。
「……お騒がせしましたー」
私はその場から逃げた。
さてどうするかと街を闊歩すると、人々が悲鳴を上げながら逃げていく。
殺人ウサギだ、生きていたのか、アレは陛下たちが討伐したのでは、騎士様達は何をしているの。
そんな言葉が聞こえてくる。
頭に何かぶつかった、矢だった。
立ち止まって、矢が飛んできた方向を見る。
いつのまにか騎士達がいっぱいいた、弓矢を構えた騎士達がいっぱい。
「今だ、かかれーー!!」
矢がいっぱいこっちに飛んでくる、ぶっちゃけ痛くも痒くもない。
普通に命中してるのに、自分でもびっくりするほどなーんともない。
やっぱり聖なる武器じゃないとこの身体は死ねないんだろうか? だとしたら厄介だ。
それにしても……痛くないけど、ちょっと鬱陶しい。
溜息を吐きながら頭をぼりぼり掻く、私もう行っていいかな?
あ。
「……あぶないなあ」
「ひいっ!!?」
流れ矢がいつの間にか自分の後ろにいた人の足に命中しそうだったのでその矢を足で軽く吹っ飛ばす。
と、よく見るとその人は騎士であるようだ、なんか毒の臭いがする短刀を持っている。
毒なら効くかな?
その短刀を借りて、自分の首にぶっ刺した。
短刀がめきょっと折れ曲がった。
「あ、ごめん。壊れちゃった」
曲がってしまった短刀を手渡して返すと、騎士の人は無言で後ろにぶっ倒れた。
弓矢を構えていた騎士達も絶叫を上げながら逃げていく。
さあ、次はどうするか?
その後は色々あった。
どこぞのパン屋で火事が起こったという噂を聞いたので「火なら死ねるかも?」とそのパン屋に突っ込んでみたけど、失敗。
ついでに逃げ遅れたらしいパン屋さんちの小さい兄妹を外に連れ出して、別の方法を探しにいく。
国の西の方で怪しげな魔術師が毒の研究をしているという噂を聞いたので、その人んちに行って毒を全部もらって飲んでみた。
お腹が壊れることもなかった、ついでに何故か痩せ細った女の人が何人か檻の中にいたし怪我をしているようだったので「お医者さんのところに行った方がいいよ」と出してあげた。
国の東の方でものすごい兵器を開発しているという噂を聞いたので行ってみた。
行ってみたらでっかい大砲とかいういうのに打たれたけど、特になんともなかったので別のところに行くことにした、道中で道に迷っている老夫婦にあったので街まで届けてあげた。
そのほかにも色々と。
兎の耳はよく聞こえるので、人々の悲鳴の中から使えそうな話を集めて、試してみて、失敗する。
それを何度か繰り返した後、こんな話を聞いた。
城の宝物庫にあるという、聖なる手榴弾であればあの殺人ウサギを殺せるのではないか、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます