第4話
「安心しろっ、正義は勝つんだ」
ええ、正義は勝ちます。
なので、ドヤ顔をしているあなたは負けることになるんですけれど、ローカス王子・・・。
世界は自分とリリスしか見えていないのでしょうか。
周りのみなさんも少し引いているのが見えないようです。
(よりにもよって、見えるのがご自身とリリスというのが・・・なんとも)
目先しか見えない男と足を引っ張る女。
リリスは何も喋らないことで失敗しても、ローカス王子一人の責任にしようとしている感じがしました。
(うーん、あんまり人を疑いたくないけれど・・・ケルベルちゃんをケガさせてましたし・・・)
ロディという男もリリスに誑かされていたのでしょうか。いえいえ、推測で人を疑うのもよくありません。でも、嘘をついたのは彼です。嘘をついた件について、リリスが依頼したのだろうと、ローカス王子が依頼したのだろうと、嘘をついたのはロディ自身。ロディが悪いということは確定ですね。
(まぁ、ローカス王子の良いところがもう一つあるとすれば・・・)
「そんな余裕そうな顔をしていても無駄だぞ、アン」
あらあら、せっかく褒めてさしあげようとしていたのに怒られてしまいました。
(心の中で、ですけれど)
「余裕と言われましても、悪いことをした記憶がありませんので」
「ふっ、愛を裏切ることは、悪いことではないというのかっ、アン」
えーっと・・・っ。これは困る質問です。
愛・・・愛・・・。
あなたのことを想って、場所を変えようとする。
あなたのことを想って、微笑む。
あなたのことを想って、注意する。
あれ、おかしいですね。
あなたの隣に、私はいませんよ。
あなたは何をしてくれましたっけ?
「ふふっ、みんな。見ろ、こいつの困った顔を。いいか。さっきのはちょっとした余興だ。今度こそ確たる話だ」
名誉挽回・・・?いいえ、彼からしたらそうかもしれませんけれど、どちらかと言えば、汚名返上。願わくば、名誉返上で王家の名を汚さないことをお祈り申し上げたいところです。
「その悪女、アンはな、俺と婚姻関係にあったにも関わらず、不貞を働いたのだ」
そのお言葉は・・・。
私の隣には男性の方はおりません。
けれど、あなたの隣には女性がいます。
私は周りの目を見る。
人は面白い話の方がお好きなようです。
私がそんなことをするはずがないとわかってくれる方々が大半。
だけれど、こんな清廉潔白な私が不貞行為を働いたとなれば、面白いと思う人があちらこちら。
(これが狙いなのですか?リリス)
リリスはこそこそしながら、笑っていた。
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