第13話 猫ドア その後
実は“猫ドア”には後日譚が存在する。この話が広まってから6年後、twitterのとあるアカウントが1枚の画像と共にこんな呟きを投稿した。
ニャー(=^・^=)
画像は猫ドアのついた扉を写した1枚で、開閉部がすりガラスになっている猫ドアの向こう側に何かがいるのが見える。
そのアカウントは日頃から飼っているネコの画像を投稿している、20万近いフォロワーのいるアカウントで、その写真もその1枚だろうと思われていた。
しかし一部のフォロワーが“猫ドア”の画像に写っていた猫ドアと写真のそれが酷似している事に気づき、その事を訪ねたところ、そのアカウントはその日のうちに投稿してきた画像を全て消去、アカウントを削除してしまった。
そのアカウントは自宅で猫を撮影した画像も多く投稿していたのだが、他のユーザーが保存していたそれらと“猫ドア”の画像を照らし合わせた結果、部屋の構造や照明の位置、床の材質等に類似点がいくつも見つかった。
6年ぶりに“猫ドア”についての進展があったわけだが、不可解な点もいくつか残る。
・ “猫ドア”の撮影者は男性だったが、twitterで画像を投稿していた人間は、度々写り込む手から女性である事がほぼ確定している。 “猫ドア”の書き込み主と投稿者が関係ないのであれば、なぜ“猫ドア”について聞かれた途端にアカウントを削除したのか。
・外で撮った画像も多数あり、中には猫カフェでの写真など容易に特定できるものも多いが、特定できた場所が全国各地に広がっている(= “猫ドア”の部屋がどこにあるのかの特定が難しい)
・呟き内容と画像が一致していない事が度々ある。大抵の場合、画像に写っている猫の数より呟きで言及している猫の数が1匹多い。時には5匹近くずれている事もあった。
結局のところ、 “猫ドア”の謎は解けるどころかますます深まる事になった。 “猫ドア”と違って画像が残っていないためか、この後日譚は驚くほどに知られていない。かくいう筆者自身も画像を直接見たことは無いのだが、当時実際に画像を確認した人の話を聞く事はできた。
あー、あの写真ですよね。すりガラスの向こうに何か写ってるやつ。あれがネットのホラー画像とよく似てるんでしたっけ。まぁ猫ドアなんてみんな同じようなものですし、ただの偶然だと思いますけどねーww
まぁそうやって騒ぎになるのも分かりますよ。まーにゃんさん(件のアカウント名)もあの後すぐアカウント消しちゃいましたし、あの写真に写っていたやつ……どう考えても猫じゃなくて小さい人間の顔でしたからね……
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