第17話 奴隷
カル「あんた、ピケの町からずっとついて来てただろ?あんたの気配、絶えず感じてた。」
赤髪仮面「…………………………」
タン「仮面ちゃん、だっこ」
「はいはい、タンちゃんは甘えん坊だね、ん、かわいいから、おいで?」
タン「わーい」
ミン「タンが、タンが?赤ちゃんになっちゃった?!」
カル むかっ
赤髪仮面 むかっ
タン「仮面ちゃん、柔らかくてあったかい」、ニヤッ
カル むかっ、むかっ
赤髪仮面 むかっ、むかっ
メイサ「なんなの?この状況」
リム 「カオス……」
あれから気を失っていた僕が目覚めると、仮面を着けた赤髪の男とカル君が、タンちゃんに何か怒鳴っていた。
大人が小さい子どもに怒鳴るって最悪だよ、僕はタンちゃんを抱き込んで二人を怒った。
二人は何かを言っていたけど無視して僕が怒ったら、二人は渋々引き下がった。
それ以来、タンちゃんがすっかり甘えん坊になったのだ。
僕もタンちゃんの耳とシッポが可愛いくて、ついついなんでもタンちゃんに応えたくなる。
ところで赤髪仮面な人、カル君の友達かな、あの時、助けてくれたらしいけど、でも、なんで仮面なんだ?それも、僕の仮面に似てるし、あと、なんか、知っている人みたいな気がする。
ただ、こっちから聞きずらいんだよな、いつも向こうから見られている感じで、なんだか第十三艦隊提督がデレてるみたいだし、ヤバい。
◆とにかくやるべき優先事項を急ぐ。
◇メディちゃんを取り戻す。
◇タンちゃん、ミンちゃんを家族の元に帰す。
そうそう、ここにきてついに、メディちゃんの消息についての情報を見つける事ができた。
あの捕まえた男達、なんとメディちゃんを拐った盗賊達の一味だったのだ。
そして奴らの向かった先は、王太子領中央都市ハルージャの隣の都市、港湾都市シアラだ。
そこからとある小島に向かう。
それで今ハルージャに到着し、これからシアラに向かう算段をしていたんだけど?
「……え~と?タンちゃん?」
タン「……………………」
メイサ「はい、タン君はミンちゃんと私でお留守番だから、仮面ちゃんから離れようね?」
タン「……………………!」、ギュッ
タンちゃんが、僕のローブを離さない。
う~ん、だいぶ懐いちゃったからな、危険だからここで待っててね、は六歳児にまだ難しい?あ!ん、え、なん、かタンちゃんの手、あん、が、変、なところ、に?!
「あん、ちょっ、と、タンちゃ、ん、ま」
赤髪仮面、カル「「早く離れろ!このくそガキ!!」」
真っ赤(赤髪仮面は肩や腕)になった二人がタンちゃんを引き剥がそうと伸ばした手を、僕は払う。
「二人とも!だめだよ、子供にそんなふうにしたら!ちょっと離れてて!」
赤髪仮面、カル「「……はい…………」」
まーたく、何でかしらないけど二人はタンちゃんに当たりが強い、六歳児になにをやってるかな、もー。
ミン(タン、わざとでしょ)
タン(ミン、急に念話を使わないで!)
ミン(本当にその人が番なの?)
タン(匂い、胸の高鳴り、間違いない!)
ミン(兄さんはどうするの?)
タン(兄さんは強い、きっと間に合う。この人に何かあれば、ぼくは死ぬ)
ミン(わかった、なんとかしてみる)
ミン「あの、皆さん、わたしたち獣化出来るんです、それならタンをついて行かせていいですか?」
「「「「「獣化???!」」」」」
ミンちゃんが、タンちゃんを見る。
タンちゃんが頷き、一瞬で子ども狼になった。
「「「「「!」」」」」
クゥンっ、子狼が首をコテンと傾ける。
僕、メイサ「「ドキューン!」」
「か、可愛い、可愛い、可愛い、連れてく」
メイサ「可愛いすぎ、駄目になる!」
ミン「わたしも変われます」
ミンも一瞬で子狼になった。
僕、メイサ「「この子も可愛いい!」」
カル、リム、赤髪仮面
「「「なんだ?この状況???!」」」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「はい、そうです。島の名前はサハラ島、と呼ばれている、岩だらけの無人島です。ランス王国と公国との、交易航路から大きく外れています」
「そこに誘拐された癒し系魔法適性者と誘拐犯がいる、そうね?マデリン」
「はい、定期的にランス王国の港湾都市シアラからギガールの貨物船がでております」
「それはつかえないわね、いいわ、船はお母様にお願いしましょう。あと、魔道レターを皆に」
「はい、それとあの方々は」
「うまく誘導出来る?」
「はい、ではそのように」
◇◇◇
マリンは海の方を見た。
春の海はまだ天候が安定しない、出航は日程の選定が必要だ。
「リンちゃん、待ってるわ」
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