第4/8話 アポテムノフィリアに昂じる
一方、犯行後すぐに聞き込みを受けた石破俊博は、危険を感じ、もうすでに絶命している女性の処理に取り掛かっていた。俊博は、自分の身体的コンプレックスを埋めるように四肢切断(アポテムノフィリア)にのめりこんでいた。その関連で動画配信サイトのMetubeで世界の拷問や悲惨な事故などを視聴し、自分ならこうすると空想を張り巡らせ愉しむ日々に充実感を得ており、残酷な描写や映像に慣れを感じていた。そんな状況下にあった俊博は、躊躇うことなく遺体の解体に取り掛かった。
腕や脚は、包丁で円を描くように少しづつ刃先を沈め、後は鋸で骨を切り、四肢切断した。俊博は、想像ではなく実物を目にし、携帯で写真を撮ろうとしたが万が一を考え、目に焼き付けることにした。切断した腕や足から包丁を使って肉を剥ぎ取り、まな板で5cm角に切り刻んで水洗トイレから下水管に流した。その後、胴体を解体し、腹や胸から肉を剥ぎ取り、臓器を取り出し、これをまな板の上で切り刻んだ上、水洗トイレから下水道管に流した。解体後に残った骨は冷蔵庫に隠した。
思っている以上に時間を要した。性奴隷計画はまた今度だな、そう思いつつ大きな体が自らの思いのまま小さくなっていく様は、束縛と充実感を覚えるものだった。作業の深夜の時間帯は、俊博にとっては、調理実習のように楽しい時間になっていた。
警察署員が任意で部屋を見せて欲しいとやってきた。
事件翌日の俊博の帰宅を待ってのことだった。被害者と思われる双葉弥生の身辺調査で結果が出ず、早くも暗礁に乗り上げてのものだった。警察官たちは階下から調べ始めていたらしい。警官たちにとっては留守宅も多く、これがやっと最後の階だという思いもあったのかも知れない。俊博は、平然と対応した。警察官たちは、任意と言う事もありトラブルを極力避けるため、大きなカバンやケース、収納スペースにしか関心を示さなかった。仕事に従事する女性の単独かシェアーが多く、新築マンションでもあり、入居者の多くが引越してきたまま手つかずの段ボール箱を部屋の片隅に積み上げている光景は異様には映らないでいた。
俊博は、その状況を段ボールの回収日やエレベーター内の会話から想像の範囲だった。二人組の一人の警察官が段ボールに視線を送ったのを察して、敢えて遺体の一部が入った段ボールを指さし、「開けましょうか」と笑顔で答えた。それを受け、警察官は別の段ボールを俊博に開けさせた。そして、去って行った。遺体の一部が入っていた段ボール箱の中身確認を促すなど巧妙かつ大胆に振る舞った。結局、遺体が入った段ボール箱は見逃されることになった。
俊博は、バレるかもしれないというスリル感と勝負勘をゲーム感覚で楽しんでいた。そして、勝利した。それを励みにすぐさま残りの解体に勤しんだ。
鼻歌交じりに遺体の頭から髪の毛を切り、頭皮を耳や鼻、唇ごと剥ぎ取り、それを電球に翳して眺めたりもした。次に眼球を抉り出し、それらを切り刻んで水洗トイレに流した。さらに頭蓋骨をノコギリで切って、脳を取り出し、下水道に流した。頭蓋骨は数個に切って、冷蔵庫に隠した。
任意の家宅捜索を切り抜けた俊博の行動は大胆になっていく。被害者女性の遺体を細かく切断してトイレに流すほか、出勤時にゴミ捨て場に捨てるなどして、ほぼ二週間を掛け、遺体の全てを処理した。
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