第2話 渡りに船と長月

 なにかをする時、どこか行く時必要なモノがある。ないと困るもの。


 高校のある日、まこっちゃんは転校してきた。平凡より少しバカよりな私は、その日も何ら変わらぬ日々を送っていて、テストゆううつだなーくらいが悩みだった。黒板の前に立った彼女のインパクトは凄かった。美人で眼鏡で巨乳で三つ編み、勉強もできる。なんてどこのヒロインだよ。

 意外と彼女は社交的で、グループに溶け込むのが早かった。早いけど、どのグループにも突撃する。オタク達も初めは驚いてたけど


「絵のモデル?」


「だめですかな?まるで三次元に出てきたようで」


「ちょっと、やめなよあんたら」


「いや、健全で、」


「いいけど、写真は駄目よ。魂とられるんでしょう?」


「なにそれ、ギャグ?」


「うん」


 笑ったあとに、アイドルの写真会のようになる教室。

「はい、そこで回って」


 回って振り返った彼女の美しさは…まあ男女問わずときめいたものです。


 コンビニも近くにないような田舎の出身。流行りに疎くていろいろ教えてほしいという。みんな自分の得意分野のアピールをする。カーストの高い子達は服だったりバッグだったり、メイクだったり。オタクさんはアニメをすすめてたり。おすすめのおやつを私もあげたりした。みんな好き勝手に私物の持ち込みをするもんだから、委員長は困りながら注意をして回る。それを知った彼女はクラスに響く声で言った。


「学校に持ってきてもよくて、すぐなくならないものはないの?」

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