愛の巣

バブみ道日丿宮組

お題:愛と死の社会 制限時間:15分

愛の巣

 彼と出会ったのは、高校時代の図書室。

 いつも彼は、太い本を隅っこの席で読んでた。

 よく確認して、同じ本を図書室で調べてみると、それは暗器について詳しく書かれた本だというのがわかった。いろいろな殺害方法、刃物の使い方、意識の消し方などが書いてあった。

 こんな物騒な本を読んでて大丈夫なのかとか、なんでこんなものが学校の図書室にあるのかとか、図書室の先生はいつも何をしてるんだとか、疑問はたくさん浮かんだけど。

 彼の利発的な表情を見てるとどうでもよくなった。

 私は彼に恋してた。

 だから、何度目かの遭遇時に声をかけた。

 

 あなたは誰? 私はずっとあなたに恋をしてた。


 実のところ、最初の接触はあまり記憶に残ってない。

 ただ必死に私というのを彼に印象付けようと頑張ってたのだけは覚えてる。

 それから何度も接触し、私たちはやがて付き合うようになった。

 登下校、昼休み。一緒に入られる時は一緒にいた。

 彼は器用なことに本を読みながら、会話をしてた。

 友だちにそれを話すと失礼だとか、彼氏らしい行動じゃないって喚いた。けれど、私にはわかってた。彼は愛情表現をするのが下手くそなんだって。

 いつも手をつなぎたがるし、スカートの中には何があるんだとか、キスは何の味がするんだとか、かなりませてた。

 そういうのを一つ一つ一緒に確認してくと、次第に彼が読む本も変わってった。

 

 子どもの作り方、ミルクのあげ方、四十八手。

 

 どれもが私との行為に結びつくものだった。

 当然そういうこともやった。彼はとても大きくて、何度も出した。私はそのたびにビクンと身体を痙攣させる。それが彼は嬉しいらしくて、大好きだと連呼した。私も大好きと返した。

 大学生になると、彼は暗器についてまた調べるようになった。

 理由を聞くと、かっこいいから。だそうだ。

 男の子だからそういうものなのだろうと、私は解釈した。

 大学を卒業する頃には、私は子どもを身籠ってた。あんなにも大量の精を受け止めてるのだ。そうなっても当然といえば当然だった。

 避妊はするにはしてたこともあったが、生をバカにしてるようでほとんどしなかった。

 私は着床しづらかったらしい。

 高校から大学までの7年、まるで妊娠することはなかったのだから。

 そうして、今に至る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

愛の巣 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る