第37話長瀞 花の里のアナベル

㊲ 長瀞 花の里のアナベル


令和元年6月25日


長瀞駅からまっすぐに花の里に向かう。


すぐそこに鳥居が見えている。


その参道を十五分程登っていくと左手に案内看板があった。


予想どうり以前花菱草を見たところであった。


アナベルは満開だが昨日、一昨日の雨のせいか乱れている。


花が重いので横に倒れているのが多い。


アナベルは花菱草の咲いていた丘の下の方に植えられていて一面、白の世界。


見に来る人は少ない。


あまり知られていないのか。


ベンチに座って下にアナベルを眺めながら一休みする。


座って絵を描きたいが上からじゃ絵に出来ないので降りて行く。


山があり、花菱草の丘がありアナベルの白い帯がありの景色で絵になる。


最近の悩みだが立っているとプルプルと震えるので長い時間同じ場所に


立っているのが苦痛である。


10から15分がせいぜいである。


日差しも強くて日傘なしではめまいが起きそう。


一枚描いてからいったんベンチに避難する。


そしてもう一枚を描きに行く。


こんなにいい景色があるのに誰も来ない。


ほとんど独り占めである。


時折、犬を連れた夫婦が来るが犬が日射病にならないか心配である。


三枚目は樹の下で描くがやはり足がしびれてくる。


アナベルの花は白ばっかりで良いような悪いような・・・贅沢だが。


左手に少し青やピンクの西洋紫陽花が見えるがまだ、株が小さい。


時計を見るとまだ二時を少し過ぎたところ、来てから二時間たっていないので


もう一枚スケッチをしようと思う。


花の株をスケッチしようとトイレ近くにある日陰の所へ行くが


坂になっているので足が辛い。


仕方なく上から描いているとデイサービスの人達の一団が来る。


前もこんな景色を見たが物の十分かに十分で帰っていく。


あの人たちの何人がこの景色を覚えていて家人や知人に話す事するだろうかと


ふと、父の事を思い出して切なくなる。


もう一回りしようかと思うが暑さにめげて帰る事にする。

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