第2話 消せない



「宮島・・・先輩?」


間違いない、あの時の


「あぁすまん、問題発生、学校の奴に見られた・・・

・・・あぁ・・・了解」


「あの・・・先輩、ありがうっ!?」


先輩は、いきなり私の口を掴んで、何かの液体を無理やり流し込まれた。


「ッ!?・・・けほけほ!」

「よし、これで記憶は消え―――」


「げほ!」

「ッ!?おい!まさか毒・・・違うよな・・・おい!おい!

緊急!緊急!―――薬の――」


私は吐血してそのまま気を失った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ピ・・・・ピ・・・・


規則正しい電子音で私は目を覚ました。


「・・・うっ・・・え?ここは?」

「よう」

「ッ!?・・・・・先輩?・・・」


病院?

腕に点滴の針が刺さってるし、

目の前には宮島先輩がいた。


「はぁ・・・とりあえず無事だな?」

「・・・・え?」

「大丈夫そうだな、おい佐々木、目覚めたぞ!」

「え?」


何が一体どうなってるの?

先輩が部屋から出て行って数分


ガラララ


ドアが開いて、黒い服の男に囲まれた、その人たちと一緒に女の人と白衣を着た男の人・・・・お医者さんの人?が入ってきた。


「お嬢ちゃん、具合はどうだ?気持ち悪くはないか?」


白衣の男の人が私に言った。


「え?あっはい」


「うーん、ボス、やはり強い「アレルギーショック」です、

無理にこの薬を使えばこの子は・・・・」


「そうか・・・」


何の話?


「おい、お嬢ちゃん」

「ひ!?ひひゃい!」

「あぁ大丈夫だ、何もしない、ただ質問に答えてくれればいい」

「は、はい」


「君の名前は?」

「つ・・つつ月島・・・・ゆかり・・・です」

「年は?」

「16・・・です」


「――――」

「――――」


その後、よくわからないけど私は、白衣の男の人の質問に答えていった。


「記憶には特に問題なし・・・・大丈夫だ、ボス」

「えぇわかったわ、えーと月島さん?」


今度は女の人が話かけて来た。


「あっはい」


「色々混乱してるとは思うけど、私たちの言いたいことはただ1つ、昨日の夜の件を

忘れてほしいの」


「え?・・・・あっなんか口を塞がれて、それで宮島先輩が――――」

「そうよ、あなた誘拐されそうになって、そこの宮島が助けたってこと」

「あっ・・・はい・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」


宮島先輩は無機質な目で私を見た。


「でもあの・・・えと・・・」

「あぁ私の事はそうね・・・・「斎藤」って呼んでちょうだい」

「じゃあ・・・・斎藤さん、単純に忘れろってどういうことですか?」


私は疑問に思ったことをそのまま聞いてみた。


「簡単に言うとね、私たちは殺し屋なの」

「・・・・・・え?」


殺し屋?


「そこの宮島もそうよ、あぁあなたを連れ去ろうとした2人は今頃されてるわ」


「しょ・・・処分?」


「女子高校生を狙う常習犯でな、殺しの依頼があったんだ」

「ふぇ?」

「とにかくこれであなたに危険が及ぶことはないわ、安心しなさい」

「あっ・・・はい」


「それで本来なら、この薬を飲ませてあなたの記憶を消すんだけど、

成分の中にあなたにとって毒が含まれてて飲ませられないってわけ」


「・・・・はい」


私はイマイチ状況が飲み込めてないけど、返事をする。


「怖がらせてごめんなさいね、この馬鹿がマスクをしないで始末したから

こんなことになっちゃったのよ」


「悪かったよ、タイミングが悪くてさぁ」


「本当にごめんなさいね月島さん・・・だったわよね?

とにかく私たちの事は誰にも言わないで忘れてほしいの、ただそれだけ」


「あっはい、わかりました、誰にも言いませんし、忘れます」

「あら?随分あっさりしてるわね」

「え?そうですか?」

「まぁその方がいいんだけど」

「でもこれだけ言わせてください」

「何かしら?」


「宮島先輩」


私は体を捻って宮島先輩に体向けた。


「ん?」

「助けてくれて、有難うございます」ペコ


私は宮島先輩に頭を下げた。


「仕事でやったことだ、気にするな」

「それでもありがとうございます」


私はもう一度お礼を言った。


「じゃあ後は任せたわよ、佐々木」

「了解です、ボス」


女の人はそう言うと病室から出て行った。

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