続・私が死恐怖症を克服した方法

【まえがき】

この文章は、今すぐ死恐怖症を和らげたい人に向けたものです。

死恐怖症に苦しんだ過去を持つ作者が、死恐怖症に今苦しんでいる方々へ届けるつもりで書いています。


私が過去どのような症状に苦しんだか、どんな方法で死恐怖症を克服したかについては、前作「【死ぬのが怖い人へ】 私が死恐怖症を克服した方法」でも解説しています。

そちらも併せて読んでもらえればうれしいです。


さて、今回続編としてこの文章を書いているのは、いくつか追加で死恐怖症の克服方法になりそうなものを思いついたからです。

実は前作を読み返していて、「そういえばあの方法は書いてなかったな」とか、「人によってはこの方法の方がより効くのではないか」と感じることがありました。


ですので今回は、前回紹介しきれなかった死恐怖症対策の方法について改めて書いていこうと思います。

前回の内容がどちらかというと「考え方を変えて直接的に効く方法」で、今回は「生活を変えてじわじわ効いてくる方法」というような感じです。


効果には個人差がありますので、「これは効いたけどあれは効かない」ということもあるかと思います。

ここに書く方法がすぐに効かなくても、どうか前作も読んでやってください。


一つでもあなたを楽にできる手段が見つかることを願っています。





・人間の感情や価値観は簡単に変わると考えてみる

人間というものは意外とすぐ変わってしまうものです。

何かの出来事をきっかけにして短時間で気分が変わることも当然ありますが、長い時間をかけて別人のように性格が変わることだって良くあります。

変わりたくないと思っていたとしても、どうしようもなく変わってしまうものです。


私自身、死恐怖症にあれだけ悩まされていた自分が数年でここまで変われるとは思ってもいなかったですし、死恐怖症以外の点でも性格は大きく変わっています。


私は中学時代にいじめを受けていて、女子から暴言を吐かれるのがとにかく苦痛でしたし、女子からはクラスの嫌いな男子ランキング1位にされたこともありました。

あの時は女子がとにかく恐怖の対象でした。


はい…今冷静に思い出すと、死恐怖症と同じくらいのつらさですね…


まあそれは置いといて、そんな風にいじめられていた私は一年後どうなったでしょうか。

なんと、クラス替えによりいじめっ子たちが全員別のクラスになり、新しいクラスでは一切いじめられなくなったのです。


それどころか私は、いじられキャラではあったものの「ちょっと面白いやつ」くらいの立場になったのです。

それをきっかけに、私は女子とも普通に話せるようになりました。

彼女が居た時期だってあります。


こんな感じで、人間の性格や価値観、周りの環境だって簡単に変化します。人生って何があるかわかりません。

例えばあなたが今「死恐怖症が苦しい。一生このまま悩まされるのか」と思い悩んでいたとしても、数年後、下手すれば数日後にはそれが解決しているかもしれません。

死の恐怖は人間にとって最悪のものです。だからもしあなたが変化できたとしたら、死が今より怖くなくなることはあっても、今より恐れるようになることはありません。


そのきっかけが何かは分かりません。

それは自分に合った考え方の本に出合う経験とか、誰か素晴らしい人に出会うことかもしれません。

それは自分から望んだきっかけかもしれませんし、予想外に誰かから与えられたきっかけかもしれません。


ですが、いつまでも変わり続けない人間はいません。


あなた自身はどうでしょうか?

例えば10年前に想像していた10年後の自分の姿があったとして、今の自分はその姿と全く同じでしょうか?

10年前に熱中していたゲームを、今も毎日プレイしているでしょうか?


そんな人は少ないと思います。


多かれ少なかれ、人間は予想もつかない方向に変化してしまいます。

だからたとえ今「死恐怖症に一生苦しむのは嫌だ」と思っていたとしても、未来はどうなっているかマジでわかりません。

それどころか、「むしろ一生死恐怖症のままで過ごしてやる!私の性格は一生変わらないぞ!」と覚悟したとしても、その通りにする方が難しいでしょう。

変わりたくなくても、人間は変わってしまいます。


だから安心してください。あなたがいつまでも死の恐怖に悩まされる確率は、とても低いですから。


大きく変わるのは明日かもしれないし、来年かもしれません。

というか、勇気を出して精神科や心療内科に行ってみよう、と決心がついた瞬間にほとんどの死恐怖症の方は解決したも同然です。


もしかしたら、この文章に出会った瞬間こそがあなたの変わるタイミングだったのかもしれません。





・体調を整えてみる

私は昔、死が怖いという症状は精神的なもので肉体とは一切関係ない、と信じていました。

これは神様から与えられた罰なんだ、とか、自分の魂や現世の構造に何か問題があるんだ、みたいなオカルトな考え方もしてしまいました。


その結果私は、「死恐怖症を克服するには、とにかく精神的な原因を解決するしかない」と考えてしまったのです。

当然ですよね。死というありえないほど莫大で果てしない苦しみを考えれば、魂とか神様とかそういったものを理由にしてしまいがちです。

そうなってしまうと、「病院行っても魂は治療できないだろうが!神様の罰に人間が勝てると思うな!」みたいな精神状態になります。私がそうでした。


ですが、実際の人体はもっとシンプルです。

自分が思っている以上に、人間の心は肉体に簡単に影響されます。


寒さ、暑さ、空腹、寝不足、虫歯、頭痛、鼻づまり、目の疲れ、肩こり、低気圧、などなど…

ここに書いた要素がたった一つか二つ重なるだけで、人間の心はあり得ないくらいネガティブになります。

しかもこういった要因でネガティブになっていたとしても、「いや、そんな体調ごときを改善したくらいでメンタルは大して変わるわけないだろう」と思いこみがちなのです。


でも、そんなことはありません。

理由もなく不安になってしまう時や、普段の何倍も死が怖く感じられるとき、何かの体調不良を気付かずに抱えていることがあるのです。


逆に言うと、「やべえめっちゃ死ぬの怖い」と思ったとき、体調不良が原因なのではないかと疑って対策することで、かなり改善することもあります。

暖房を入れてみる、お腹いっぱい食べてみる、お風呂に入ってみる、お笑い番組を見てみる。

それだけで信じられないほど考え方が変わることだってあります。


私自身も、太ることを気にしてお腹いっぱい食べなかったり、電気代を気にして暖房を弱くしたりすることもありました。

ですが、「死恐怖症の苦しみを考えたら太ることとか電気代とか気にしてられるか!!俺は好き勝手にするぞ!」と開き直ることで、確かに楽になる経験が何度かありました。


もちろん肥満や暴飲暴食は良くないことですが、ネガティブな感情は体からの体調不良のサインである可能性が高いです。

「死恐怖症とは関係ないだろう」と考えずに、ぜひ一度体調不良を疑ってみてください。または、冬が過ぎて春になるだけでかなり改善する人もいます。

完全に恐怖が消えなくても、多少和らげられることはあると思いますので。



思いっきり余談ですが、当時ハマっていたアイドルマスターミリオンライブの佐竹美奈子というキャラクターがとにかくお腹いっぱい食べて幸せになることを勧めてくるタイプで、肥満を気にする自分がちょっと励まされた気分になったのを覚えています。




・寝るときにラジオを聞いてみる

死恐怖症の恐怖に一番悩まされたのは寝る前という方が多い印象です。

私も起きている間は勉強とか仕事とか家事とかに意識が向くので良いのですが、寝る前に暗い部屋で無音になると急に不安に襲われました。


そういう時は、眠くなるまでベッドの中でネットラジオを聞いていました。

内容は何でもいいと思いますが、私がよく聞いていたのは声優とか芸能人とかのラジオです。

やっぱり寝るときに人の声があると安心しますね。テレビをつけっぱなしにしてタイマー機能で自動的に消えるようにしておくのもいいかもしれません。




・抱き枕を買ってみる

寝るときの環境を変える作戦です。


人間は何かを抱きしめることでストレスを大きく緩和できます。

それはもちろん死恐怖症のストレスに対しても同様です。


抱き枕と言っても種類はたくさんありますが、個人的には大きいサイズのものを使うと実際に人間と一緒に寝ているようで安心感が得られました。

ネットで調べれば、大きいサイズのモノでも2000円から3000円で買えることがあります。


「抱き枕使って寝てるとか恥ずかしいし…」と思ったそこのあなた。

最近は抱き枕が一般的になっていて、成人男性でも安眠目的で普通に使っています。

それにイギリス人の成人男性は、大人になってもテディベアと一緒でないと眠れないという人が多いらしいです。


それくらい大人でも恥ずかしがる必要はないものですし、一度ハマるとやめられないものなのです。


まあ私は人に見せるのが恥ずかしいタイプの抱き枕使ってましたけどね…アニメキャラの…

抱き枕があるだけでも癒しになりますが、その上キャラクターの抱き枕カバーなんて使ったらもう大変ですよ。

不安で仕方なかった夜の時間が、むしろ楽しみになるんですから。


何はともあれ、気になる方は一度試してみるといいでしょう。





・死恐怖症を和らげる手段を人に伝えようとしてみる

最後に、これは今まさに私がやっている方法です。

自分の経験を文章にして明らかにすることで、自分の感情を客観視することができ、トラウマの解消に利用できるという例があります。

悩み事を書きだすだけでいいのです。解決策を考える必要もありません。


自分が苦しんでいる症状や、おちいってしまう考え方を文章にまとめてみるだけで、それだけでかなり冷静になれるかもしれません。


そうでなくても、自分が楽になれた方法をメモに残しておくことで、後で不安が押し寄せてパニックになった際に自分で読んで参考にすることができます。

このようにして、誰か他人に伝えるつもりで書いてみると意外な発見があるかもしれません。


もしかしたら、あなたの試した方法をどこかに投稿することで、それを見た人の症状が劇的に改善することだってあるかもしれません。


死恐怖症に悩む人はあなただけではありません。

ちょっとしたきっかけで一時的になる人もいれば、長期的に悩んでいる人もいます。

病院に行くだけで解決するのに、そのちょっとの勇気が出ない人だっています。


ですが、私はこういった人たちを仲間だと思って、何としてでも楽にしてあげたいと思っています。

死恐怖症に悩む人が少しでも減るように、あなたも協力してはくれませんか?





【あとがきとお礼】

前作「【死ぬのが怖い人へ】 私が死恐怖症を克服した方法」をpixivで公開したところ、今現在で150人以上の方々にブックマークしてもらっている上、多くの方々からは「救われた」「楽になった」などのダイレクトメッセージや感想をいただきました。

…こんな書き方をすると怪しい健康食品の宣伝みたいでアレですが、本当に読者の方から頂いた感想です。


作者というものは、自分の書いた文章に短いコメントをもらっただけでも超喜びます。

言っておくと、「面白かった」くらいの短い感想でも、読者の方が想像している数倍はマジで喜びます。

ですが今回私が頂いた感想はその程度のものではありませんでした。


長く苦しんでいた死恐怖症の症状から解放された方の感想、克服への希望が見えた方の感想、わざわざpixivのアカウントを作ってまで送っていただいたメッセージなどなど…

これだけは言わせてください。

その一件一件に対して、私はガッツポーズして喜んでますからね?


もう嬉しすぎて数十回は読み返しますし、寝る前に思い出してはニヤニヤしますし、ふとした時に思い出しては生きる元気をもらっています。


というのも、やっぱり自分が苦しんだ経験があるからでしょうか。

同じような症状の方が「楽になった」と言ってくれるだけで、もうめちゃくちゃ嬉しい。

過去に苦しんだ自分を今の自分が救っているような気持ちで泣きそうになります。


私のような人間の辛かった思い出がこんな形で役に立つなんて、嬉しい以外の言葉では表しようもありません。

メッセージをくださった方々、コメントをくださった方々、心から本当にありがとうございました。


厚かましいかもしれませんが、これからも死恐怖症に悩む人の支えになっていきたいです。

上で紹介した以外に死恐怖症を克服した方法があれば、ぜひ私に教えてください。

死恐怖症に悩む仲間へ、何としてでも広めていきましょう。
















【雑記】

死恐怖症の人の体験談とかまとめたサイト作れないかなーなんて思ってます。

解決策を投稿したり、経過を報告したり、みたいな。

まあ、まだ具体的じゃないしアイデアに過ぎないですが、広く死恐怖症の人を救える仕組みを作るのが夢の一つなんです。


私自身、堅苦しい書き方よりぶっちゃけた書き方の方が共感してもらいやすいと思っているので、誰でも気楽に投稿できるそんな場所があったらなー、と。

重度の恐怖症の人は病院に行ってもらった方がもちろんいいのですが、そこまでではない人を未然に救うことが出来たら、というようなアイデアです。


自分の経験が見ず知らずの他人を救えたり、自分の悩みが他人の投稿で簡単に解決できたりしたら、面白そうじゃないですか?



【雑記その2】

死恐怖症の私の印象に残った言葉。


ハリーポッターと賢者の石で印象に残ってるシーンがラストの一幕ですね。


賢者の石とは、寿命を延ばす薬がいくらでも作れる貴重なアイテムです。

賢者の石を作った魔法使いはその薬を飲み続けて数百年生きてきたのですが、悪の魔法使いに奪われそうになったことで賢者の石を捨てる覚悟をします。

もちろんそれは、自身の寿命がこれ以上伸ばせなくなり、死ぬことを意味します。


だからハリー達は、本当にそれでいいのか?とダンブルドア校長先生に尋ねるのです。

するとダンブルドア先生はこう言うのです。


「良く整理された心があれば、死とは新たな大冒険のようなものだ」


当時の私は、いつかこんな大人になれるだろうか、と思ったものです。

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【死ぬのが怖い人へ】 私が死恐怖症を克服した方法 みなもとあるた @minamoto_aruta

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