またもや入浴介助? 今度は妹?

暗闇の中鈍く光る拳銃……のようなものを俺は見る。なんなんだこの状況は。整理しよう。まず父親がヤクザの姉妹が家に来た。そして今一緒に寝ている。そこで忍者のような格好をした奴が俺を拳銃チラ見せで脅迫している。


いやいや頭が痛くなる。


「あーちょっとトイレ」

眠気まなこでニアの方がムクリと起き出した。するとその忍者は懐に拳銃を閉まった。


ガチャリ。ドアを開けて用を足すニア。俺と忍者だけがトイレから漏れた明かりで顔を見合わせる。


「なんですか? あなたは」

俺は堪らず聞く。


「すっ……ません。お答え……とが出来……」

とその忍者が言った。女の声か……


するとニアが俺のところにフラリと戻ってきて俺の体をバシン! っと叩いた。


「ごめん。あたしまだお風呂に入ってなかった」

とニアが言う。


「入っていいよ。夜中だし静かにしてくれるなら」

と俺が言うと急にニアは裸足で俺の顔を踏みつけてきた。


「うりうりうり」

なんなんだこいつは。


「ちょっと匂うでしょう」

とニアは笑いながら言う。確かに少し酸っぱい匂いがする。


「ま、ちょっとだけ匂うだけだよ。てか俺の顔を踏むのやめろ」

俺は言う。


「そっか。カズにい。匂いフェチだと思ったん……えっ! なにこれ」

とニアは忍者を見て叫んだ。


「ニアが知ってるんじゃないのか」

俺は聞いた。


「知らないよ。こんなの」

とニアが言う。


するとその忍者は覆面を人差し指で下ろした。フードも外しその顔が見える。暗闇でも分かる中々の美少女だった。


「あんた、カリンじゃないの」

とニアが言う。

カリンと呼ばれたその少女はコクリとうなずいた。


「この子私たちのボディーガード。こう見えて戦闘のプロなんだから」

とニアが言うとコクリとカリンがうなずいた。カリンは小柄で猫っぽい動きをしていた。


「それでそのカリンちゃんがなにをしてたの?」

俺が聞くとカリンは

「わっ私は! 自分の仕事のボディ……するっ! ……です」

ん? なんて言ったんだ。


「あ。あんまり気にしないで。カリンは喋るとき緊張しやすいだけだから。カリンは私たちのボディーガードだから私達を守るってそう言いたいんだよね。カリン?」

とニアはカリン語を通訳してそれを確かめた。

するとコクリとニアがうなずく。


「ところで、あたしまた体洗えてないんだけど」

と俺の顔を上から見下ろしながらニアは言う。


俺たちは風呂場に来ていた。俺の目の前にはタオルで髪を抑えたニアがいた。ニアの艶めかしい背中が見える。


そしてお湯の張っていない浴槽にはカリンがジッとこちらを見ていた。


「なんかさ……自分で体洗うのって大変だよね」

と振り返りながらニアが言う。


「だからカズキ。洗ってよ。私の体」

とニアが笑っていう。


「お、おぅ……!」

と興奮気味にカリンが驚く。


あっ……俺の股間がまたヤバいことになっていく。ニアの背中を見て俺の股間はムクムクっと大きくなった。幸い俺はパジャマの半ズボンを履いていたからムックリしただけで済んだが……


「うわぁ!!」

とカリンが俺の膨らんだ股間を見て叫んだ。そして浴槽の中ですっ転ぶ。


「あはっカリンなにしてんだ」

俺は笑うと浴槽のフチからゆっくりと黒光りする拳銃が出てきた。そして起き上がり怒りの表情で俺の方に銃を向けるカリン。


「そっ! そっれっ! 降ろせ!」

と俺に向かって叫んだ。


「え? なに降ろすってなにを降ろすの?」

俺は聞いた。


「どうもカリンはカズキの股間が拳銃を突きつけているように見えたようだね」

とニアは俺に言う。


コクリとカリンがうなずく。いやなんでカリンの言ってることが分かるんだ。ニア。


「撃つ! 撃つぞ!」

とぷるぷる震える手で俺に拳銃を向けてきた。


「えっ……ちょっとあのカリン? 俺に拳銃を向けるのはやめてほしいんだけど」

俺はそう言った。


だが、カリンの目は血走っている。

「撃つ! 撃つぞ……!」


「ちょっとその拳銃本物じゃないよねってか……」

バキュン! と俺の方に向かって拳銃が放たれた。

「っ……?!!」

耳がキーンとなる。俺はふと横を見ると風呂場の壁に小さな銃痕がついていた。


「うわあああああああ!!!!!!!!」

俺は思わず倒れこむ。

「ほっほっ!!! ほっほんもの!!!!」

俺は転がりながら叫んだ。


「へっ変な動きをすっするな!」

とまたカリンは俺に銃口を向ける。


「うわあああああああ!!!!! あああああ!!!!」

俺はのたうち回りながら叫んだ。


「ちょっと! カリン! 銃を下ろしなさい!」

とニアが叫ぶとカリンは銃口を俺の方に向けるのをやめた。


「ああああ!!!」

「ちょっと静かにして!」


と俺の顔面に熱いシャワーがぶっかけられる。

「うばばばばあああああ!!!!」

俺は叫んだ。


やっと平静を取り戻した俺は自分の服がずぶ濡れになっていることに気づく。

「やっと落ち着いた?」

とニアが言う。すると俺の視界にカリンの姿が映った。


「うわああああ!!!」

俺はまた叫んだ。

「ちょっとカリン! 姿を見せないで!」

とニアが言うとカリンは頭に手を置いてしゃがみ込んだ。


「うぅ……ごめんなざい」

なんだかカリンの泣き声が聞こえる。泣きたいのはこっちの方だ。


まだまだ続きます。

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