あなたを救いたくて、
「雅人…だよね?」
そう言ったのは他でも無い茉喜だった。
声質で分かった。
でも僕は後ろを振り返りたくなかった。
(…茉喜にこんな自分を見られてもただ失望されるだけだ…)
そう思い、スタスタと歩く。
下を向いて。振り返らずに。
「待って!雅人!」
そう言い、彼女は追いかける。
僕は無視をして一段と早く歩く。
それでもしぶとく追いかけてくる彼女に少し怒りが込み上げてきてしまった。
(ほっといてよ…。)
僕は暫くして大通りに出た。
彼女は後ろをついて歩いてきていた為、撒くのはここしかないと思い、いつもと違う裏道へそそくさと消えようと思った。
その時、僕は見た。
二人の中浜のSPが茉喜の向かう方向の角にいることを。
僕は彼女のことが鬱陶しいとつい前までは思っていた。でも彼女がSPに消されてしまうかもしれないのはなんとしてでも避けたかった。
恩人だから─────。
僕はくるっと身体を後ろに向けて茉喜の方へ向かった。
「雅人…!」
と彼女が言い終わる前に僕は彼女の手を掴んでSPがいなくて、僕が逃げようとした道ではない、図書館の裏道へ走っていった。
SPはそんな僕たちを見た後必死に追いかけてくる。僕は逃げ足が速いタイプだったのでそのまま右折して裏道の裏道へかけていった。
気づけばSPはいなくなっていた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、」
二人は息を切らして飲食店と飲食店の狭間のような凄く狭い小道にいた。
僕は咄嗟に彼女を助けた。でも彼女と話す気はない。彼女が幸せに生きているならそれでいい────。
そう思い、じゃあ。っといって立ち去ろうとした。すると、茉喜は反抗するようなそんな目を僕に向け、手を握った。
「雅人、ちゃんと私と話をして。」
その茉喜の目はあまりにも真剣な目だった。なので僕は逆らうこともせず、その場にとどまった。
「私は貴方を追いかけてここまで来たの。」
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