茉喜side②「幸せでした。」
ある日私は雅人と遊んでいた。私は木に登っていた。
だから全然雅人の異変に気づかなかった…。
私が木に登っていると雅人が
「登っちゃだめでしょ!」
と注意してくる。私は
「大丈夫だってー!」
と言って登っていた。私は木に夢中だった──。
だから発見が遅れた───────。
「あれ?雅人?」
気がつくと雅人が倒れていた。汗をたくさん流して。私は焦って木から降りて雅人の近くに駆け寄った。
「雅人!雅人!」
私は叫んだ。周りに助けを求めた。
「誰か!誰か!」
泣き叫んだ。暫くすると知らない白衣を着た男の人が現れて顔を真っ青にした。
「ちょっと早かったか……。」
「……君名前は……?」
「茉喜です……。」
「…とりあえずうちに来てくれたまえ。」
そうして私は雅人の父親らしき人と共に雅人の家へ向かった。
雅人の家は私が気になっていたあの家だった。
(あれ雅人の家だったの──────。)
私は驚きながらもその家に入っていった。その家には沢山の花があった。しかしそれよりも防犯カメラの数が多いことに驚きを隠せなかった。
(ここにも防犯カメラ…ここにもカメラ…。)
暫くして雅人をベットに置いて布団を敷いた後私は男の人から説明を聞いた。
「茉喜ちゃんだね…。雅人から聞いてるよ───。
いつも仲良くしてくれてありがとう…。」
「はい…」
「ごめんね……。雅人は……。」
雅人が未知の病気だと聞いた時私は驚きよりどうして今まで言ってくれなかったんだろうとそういう気持ちの方が大きかった。
(……私知ってても別に遊ぶのやめなかったのに…………。)
(もしかして私と遊ぶの迷惑だった────?)
数日後に引っ越すと聞いたけれど私はお別れは行かない方がいいだろうと思っていた。
思っていたけど………………。
(……それでも………私達が過ごしたあの日々を……なかったことにしたくない……。)
私は1輪のマリーゴールドを握りしめてあの白い家まで走った。
(雅人……雅人……雅人……。)
何度こけようとも私は立ち上がって走った。何もなかったことにはしたくなかった。私は少なくとも貴方に会えて良かったと思った。私はあなたにあって幸せだった────。
「雅人!」
私は叫ぶ。
雅人は振り返る。
数日経った後の私達はまだ気まずくて何も話せない状態だった。
(でも言わないままじゃ後悔する……。)
「はいこれ!」
そういって私はマリーゴールドをあげ、お別れを言った。
私はあなたのことが好きでした───。
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