茉喜side「かわいい男の子」
いつも人が出てこない白色の家の住民。私はめっちゃ気になっていた。だから今日から私はその家から出てくる人がどんな人なのかを見たくて偵察──────いわゆる"のぞき"をすることにした。
(悪いことだとは分かってるけど…まあ仕方ないよね。)
当時の私は悪いことより興味が勝ってしまうような少しおてんばな女の子だったと今は思う。
(ちょっとだけ……後ちょっとだけ……。)
そういつものぞきをしていた。
ある日私は自分の家と白い家の間にある大きい森の中でお花を摘んでから白い家に行こうと思って、ちょうど御神木みたいに大きい木のところら辺で花を探していた。すると綺麗な花を見つけた。"アスチルベ"だった。
(わぁ……。綺麗な花……。これ摘んでこうかな……。)
そう思い、アスチルベに手を触れた瞬間別の子の手に当たった。
見たことのない、同い年くらいの可愛い男の子だった──────。
私はここら辺の人のことをある程度は知っているつもりだったので誰だかわからない人に思わず
「見たことのない顔だなぁ。」
と言ってしまった。初めて会ったのにこれを言ったのは無礼だなと後々思った。でもそんなことを当時は気にしていなかったので男の子の顔なんて気にせず花をあげた。
はいどうぞ!と言って。
男の子は私が花を渡すと自然と笑顔になり、私まで嬉しい気持ちになった。
また会いたくて、少しでもこの子を見ていたくて私は名前を聞いた。
「雅人」
(へぇ、雅人っていうんだ。
…雅人くんとまた遊びたいなぁ……。)
そう思って私は待ってるなんて恥ずかしい言葉を言ってしまった。その恥ずかしさを紛らわす為に私は手を振った。彼も振り返してくれて嬉しかった。
────数日後彼はまた来てくれた。
私はとっても嬉しかった。だから張り切って花摘みゲームをしようなんて言ってしまった。数分経って私は一人で勝手に決めてしまったと反省したので謝ろうと顔をあげると彼は楽しそうにしてくれた。
(よかった……。楽しんでもらえてる……。)
そう安心した。
夢のような時間だった。楽しかった。でもそれは私だけで雅人はそうじゃなかったのかもしれない。
そうじゃなきゃ隠し事なんてしないでしょ…?
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