旅立ちの時

「…と…さと…まさと…雅人!」


僕が目を覚ますと家のベットの上にいた。



「ここは………。」


「家。あんた倒れたんだって?あの女の子心配してたよ。」


中浜にそう言われ、ベットからすんとあがる。



「茉喜は!!!」



「…茉喜ちゃんというのか…。帰ってもらったよ。病気の説明ろくにしてなかったそうじゃないか。彼女気が動転してたよ…。」




────そんな。僕はもっと茉喜と一緒にいたかったのに──────────。


僕は泣き出した。ベットで。中浜はポンポンとして慰めてくれた。その手はとても温かった。僕はお陰でまた前を向けた。







信じなければよかったなぁ。と今でも思う。そうした方が自分の身のためだったなぁと思う。

僕は間違った道へ進んでしまった。





中浜は焦った顔でボソッと呟く。

「…予定より少し早めないとな…。」




次の日。中浜は唐突に言った。

「今日都市部へ行く。」

と。



僕は戸惑った。まだ茉喜にお別れを言えてなかったし、もう少し一緒にいたかったし…。顔が曇った。

しかし中浜はそんな僕の表情になんて見向きもせず、



「今から向かうから準備して。」

と冷たくいった。中浜の顔からはいつも見せないような焦った表情がみえた。




暫くしてトラックが来た。

話が急展開すぎて僕は戸惑いを隠せなかったが。


「じゃあこれとこれとこれ運んでいきますねー。」


引越し業者の人が淡々と僕の家にあったものを詰めていく。




(……もうなくなるのか……。早いなぁ……。)



謎の孤独感に襲われた。





数時間後には僕の家は空っぽになっていた。

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