旅立ちの時
「…と…さと…まさと…雅人!」
僕が目を覚ますと家のベットの上にいた。
「ここは………。」
「家。あんた倒れたんだって?あの女の子心配してたよ。」
中浜にそう言われ、ベットからすんとあがる。
「茉喜は!!!」
「…茉喜ちゃんというのか…。帰ってもらったよ。病気の説明ろくにしてなかったそうじゃないか。彼女気が動転してたよ…。」
────そんな。僕はもっと茉喜と一緒にいたかったのに──────────。
僕は泣き出した。ベットで。中浜はポンポンとして慰めてくれた。その手はとても温かった。僕はお陰でまた前を向けた。
信じなければよかったなぁ。と今でも思う。そうした方が自分の身のためだったなぁと思う。
僕は間違った道へ進んでしまった。
中浜は焦った顔でボソッと呟く。
「…予定より少し早めないとな…。」
次の日。中浜は唐突に言った。
「今日都市部へ行く。」
と。
僕は戸惑った。まだ茉喜にお別れを言えてなかったし、もう少し一緒にいたかったし…。顔が曇った。
しかし中浜はそんな僕の表情になんて見向きもせず、
「今から向かうから準備して。」
と冷たくいった。中浜の顔からはいつも見せないような焦った表情がみえた。
暫くしてトラックが来た。
話が急展開すぎて僕は戸惑いを隠せなかったが。
「じゃあこれとこれとこれ運んでいきますねー。」
引越し業者の人が淡々と僕の家にあったものを詰めていく。
(……もうなくなるのか……。早いなぁ……。)
謎の孤独感に襲われた。
数時間後には僕の家は空っぽになっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます