希望、疑惑、信頼。

暫くして父が───誠さんが帰った。ドンっと扉を閉めて。次いでにグチャッという音も聞こえた。外に咲いてある花を踏んだのだろう。僕はとても許せなかった。





だんだんと茉喜との思い出が薄れていく。



(もうだめだ…僕…。)



そう思いかけた時押し入れの扉が開いた。

中浜だった。中浜が目の前で申し訳なさそうにして僕を見ていた。



(どうせ…こいつも…)



そう僕は諦めかけていた。下を向いていた。すると中浜は僕の目の前に手を差し出して



「逃げよう。」



と言った。正直戸惑った。この人は今まで僕を軽蔑したようなそんな目で見ていた。鬱陶しいようなそんな目で見ていたのだ。

僕は顔を上げた。するとさっきの顔と同じ。中浜は申し訳なさそうな悲しいようなそんな目で見ていたのだ。



(…あなたはいつも私のことが邪魔で邪魔で仕方ないのかと思っていた。でも本当は違うの?


私はあなたを信じていいの───────。)




大丈夫だよ。信じていいよ──────。



そういうように彼は1輪のアスター ステラホワイトを僕に渡した。彼は切なそうに笑った。



僕はこの人は悪い人じゃないんじゃないかと思った。この人も僕と同じ。誠に操られているだけじゃないかと思った。


この選択に今後悔はなかった。



「はい。」






私はあなたを信じます。

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