夢のような時間の中で

「というと?」


僕はポッカーンとしてしまった。びっくりした。どこの流れでそうなった。脳の回転を速くして僕は状況処理をしていた。



(えっと、、声かけてそれから…?僕なんか言ったっけ?)




僕が戸惑って立っていると茉喜はニヤリとして僕の手を取って


「いこ!」


と言って森の中へと僕達は駆け出した。僕はポケットに入った点滴袋を押さえながら駆けた。

いきいきとして。前の自分では考えられない程に。



僕達が暫く走っていると小さなラベンダー畑とはまた違う開けた場所があった。ラベンダー畑のところより広かったと思う。僕達はそこで花摘みゲームをすることにした。


「じゃあルールね!

まず1時間ここを散策して自分が知らない花を拾って籠の中に入れます。そして1時間後この入り口に集まって何個あったか集計をします!それが少なかった方が勝ち!これでどうでしょう?」


「おおう。いいよ。」


「じゃあ今は14:26だから…15:26までね!

よーい始め!」


そう彼女が言って僕らは探索し出した。正直ここは広かったが、知ってる花がいくつもあったため、結構手こずった。




(辺りを見渡してもカスミソウ、カスミソウ…。沢山の種類の色のカスミソウだけど…。)




そう、ここはカスミソウ以外至って咲いているものがなかった。非常に僕は困った。



(カスミソウで出す…?いや、でもなぁ…。)



とそんなことを思って歩いていると全然名前の知らない花を見つけた。



(なんだこれ…キク科のやつかな…。───まあ、取っていくか。)



そう思い、沢山の見知らぬ花─────アゲラタムをかごに沢山入れ入り口まで走っていった。


着くと彼女はもういた。そしてお互いのカゴを見ると沢山のアゲラタムがあった。僕たちは最初キョトンとしてカゴをみ、そして笑い合った。



「おんなじのだ!」



そう言って。僕に取って最高に楽しい、夢のような時間だった。でもいつかはその楽しみにもヒビが入る日が来る。



僕達はまだそれを知らなかった─────。




「じゃあね!」


「また今度!」


そう言い、僕らは手を振って帰った。僕は沢山のアゲラタムを両手に包み込み、愛おしそうにそれを見ながら帰った。

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